燃えながら読んだ。
あるアクシデントにより、火星にたった一人きり取り残された宇宙飛行士・ワトニー。
どうひいき目に見ても助かるはずがない。
空気がない。食べ物がないのだから。

だが、驚くべき発想と知力により、なんとか生きながらえようとする。
その努力は認めるが、次に火星に人間がやってくるのは数年後なのだ。
生き延びられるはずがない。
だがしかし!
あの手この手でどうにかしていくんですね、この男は。

地球ではもうワトニーは死んだと思っている。
ところがNASAの職員が、火星の様子がおかしいことに気づく。
「もしかして……?!」
半信半疑ながらの、ワトニー救出作戦が動き出す。

はたしてワトニーは無事に地球に戻ってこれるのか?
……と、はじめから手に汗にぎる展開ではあるが、この男、実に明るい性格をしている。
よく言えばオプティミスト。悪くいえば軽薄。
だから、殆どの読者は「どうせ助かるんだろ」と高をくくってページをめくる、はず。

助かると分かっていて、いったい何が面白いのかというと、次から次へと襲いかかる「予想のしようがないアクシデント」を「想像も付かないやり方」で切り抜けていくワトニーのサバイバル能力に圧倒されるのだ。
正直、背筋がふるえるほど感動した。

その勢いで映画も観てみた。
タイトルは『オデッセイ』。リドリー・スコット監督。
主演のマット・デイモンが孤軍奮闘といった感じで、今ひとつ盛り上がりに欠けた。
宇宙空間の映像は美しかったのでよしとしたい。

(以下、引用です)
つまりこういうことだ。ぼくは火星に取り残されてしまった。〈ヘルメス〉とも地球とも通信する手段はない。みんな、ぼくが死んだものと思っている。そしてぼくは三一日間だけもつように設計されたハブのなかにいる。
もし酸素供給器が壊れたら窒息死。水再生器が壊れたら渇きで死ぬ。ハブに穴があいたら爆死するようなもの。そういう事態にならないとしても、いつかは食料が尽きて餓死する。
ああ、まったく。最悪だ。


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