2013年における一人語りと、2012年の一人語りがほぼかわりばんこに出てくる。
どちらも女性、どちらも一人称なので、最初とまどった。
この二人は別人。
そこをしっかりつかんでおけば、あとはスムーズに読めた。

ところで「トレイン」の前置詞って「ON」なの?
なんか、電車の屋根に乗って、パンタグラフにつかまっているようなイメージだなあ。

タイトルに「ガール」と付いているが、主人公は40代。
イギリスでは40代女性もガールと呼ばれるのか。
じゃあ、40代男性は「ボーイ」?
まあ、それはさておき……。

主人公のレイチェルは、通勤電車の中でも酒を手放せないほどのアルコール依存症。
彼女が電車の中からいつも観察している家がある。
仲のよさそうな若夫婦が住んでいて、いかにも幸せそうだ。
実はレイチェルは昔、その四軒むこうに住んでいた。
今、その家にはレイチェルの元ダンナと新しい奥さんが住んでいる。

……という、なかなか凝ったシチュエーション。

ある日、仲良し若夫婦の奥さんが突然失踪する。
警察はダンナを疑うが、レイチェルは違うと確信している。
なぜなら失踪の前日、若奥さんと愛人(?)の男がキスをしているのを見ていたから。
それで、レイチェルはわざわざ警察に出向くのだが──。

。。。全体的に暗いトーン。
近年はこういうのが受けているのか。

『衝撃のラスト』という触れ込みの本書を、私は「ベストセラーコード」という本で知った。
しっかりネタばらししてあるので未読の方は要注意。

犯人が最初から分かってしまっては興味が半減──ということもなく、それならそれで、ミスリードに持っていこうとする作者の手練手管がよく分かり、そういう意味での面白さを堪能した。

そのうち映画も観てみよう。

(以下、一部引用です)
お酒を飲みたい。でも、飲みたくない。もし今日も飲まずにやりすごせば、三日連続だ。三日続けて一滴も飲まないのは、果たしていつ以来だろうか。口のなかにもう一つ別の味もしていた。久しぶりに蘇った頑固さだ。私には意志が強かった時期がある。そのころは、朝食前に十キロ走ったうえ、一日の摂取エネルギーを千三百キロカロリーにまで抑えるという禁欲的な生活を何週間も続けたりしていた。トムは私のそういうところが好きだと言った。私の意地っ張りなところ、私の芯の強さ。結婚生活の末期、あらゆることがこれ以上悪くはなりようがないというところまで悪化していたころ、口論のさなかに、トムから言葉を投げつけるようにこう言われたのを覚えている。「いつから変わっちまったんだ、レイチェル? いつからそんなに弱い人間になった?」
わからない。昔は持っていたあの強さはいったいどこに行ってしまったのだろう。気づくとなくなっていた。たぶん、時間によって少しずつ削られていったのだろう。人生によって。日々を生きることに疲れて。

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