あらすじ。。。
ロミオ(折笠愛)とアルフレド(藤田淑子)は、“山猫”という酒場の地下室に閉じ込められる。
そこには同じ境遇の少年たちが十数人、すでに到着していた。
夜になると、ダンテ(石村知子)という少年が何とか抜け道を見つけようと徘徊しはじめる。
三三五五、起き出す少年たち。
なんとなく“脱走”派と“穏健”派のグループに分かれて……。

(以下、脚本集より引用)
〇 ワイン蔵
ダンテ「どうしたんだよ。はやく!」
少年たち、顔を見合わせ、困惑する。息詰まる沈黙。
ダンテ「このまま連れてかれたら、飢死にするか、雑巾みたいにコキ使われて、墓場行きに決まってる!」
迷って躊躇しているロミオに
ダンテ「そう思わないか?」
ロミオ、ごくりと息をのむ──。
ロミオ「ぼくは……逃げるわけにいかない」
ダンテ「どうして!?」
ロミオ「(自分に言い聞かせるように)ぼくは、煙突掃除夫になる代わりに、父さんにお医者を呼んでもらったんだ。春まで……なんとかがんばるつもりで来た」
ミカエルのひじをつかむダンテ。
ダンテ「おまえは?来るだろっ」
悲鳴をあげるミカエルをひっぱっていこうとする。ダンテをつかむアルフレド。
アルフレド「やめろ!とても逃げきれると思えない。死に神は恐ろしいやつだ。見つかったら、殺されるかもしれないぞ!」

(引用終わり)

「ぼくは……逃げるわけにいかない」
けなげで悲壮なロミオの決意である。
脱走計画に、まったく心を動かされなかったわけでもないだろうが、一度した約束は必ず守り通すという信念は変わらなかった。

ロミオが父親のことを話していたとき、少年たちの胸に去来したものは何だったろう。
ふるさとの両親、弟や妹たちの面影ではなかったか。
自分を売った肉親を恨んでいる者も、中にはいたかも知れない。
それでもなお、家族の暮らすふるさとへ帰りたいと、胸を焦がしたにちがいない。

それにしても驚かされるのは、
「春まで……」
と、ロミオが言っている点だ。
生きて帰れた者が一人もいないと言われている煙突掃除夫という職業。
これからそれをやるというのに、生きる希望を捨てていない。

そんなロミオと対をなすのがアルフレドだ。
「とても逃げきれると思えない。〜」
とは、頭の中でさまざまなシミュレーションをした上での結論だろう。
頭脳明晰な彼には、いろいろな可能性が見えているはずだ。

脱走計画の首謀者ダンテがおっちょこちょいというか、後先考えずに行動して活路を見いだす──運が悪ければ、死期を早める──タイプなので、アルフレドの存在は、ここでは良いストッパーとなっている。

ここでもしアルフレドが、全員が安全に逃げ出せる方法を見つけていたとしたら……?

みんなを無事に逃がした上で、彼はとどまっただろう。
ロミオの決意を聞いてしまったから──。

結局、ダンテたちは作戦を決行する。
ここから『大脱走』ばりの脱出劇が繰り広げられるのだが、果たして……?

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第05話「酒場での一夜」(1995/02/12)
絵コンテ・演出: 岩本保雄
作画監督: アベ正己
脚本: 島田満

ロミオ: 折笠愛
アルフレド: 藤田淑子
ルイニ: 小村哲生
ダンテ: 石村知子
ミカエル: 石川寛美
アントニオ: 高乃麗
リゾ: 稲葉実

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