あらすじ。。。

ロミオ(折笠愛)は、父親のロベルト(大林隆介)に反抗して、家を飛び出してしまう。
さらに、ロベルトが実の父ではないことを知り、ショックを受けるロミオ。

しかしロベルトの、ロミオへの愛の深さを物語るエピソードを、母親のジェシカ(藤井佳代子)から聞かされ、ロミオの心はほぐれていく。

また、ロミオを売るよう直談判にやってきた“人買い”ルイニ(小村哲生)に対し、決然と断わるロベルトを見て、ロミオは以前よりいっそう父を敬い慕うのであった。
だが、そのロベルトが倒れてしまい……。

(以下、脚本集より引用)
声「ロベルトは、本当の父さんじゃないのさ」
そのとき「ロミオ」と呼ぶ声でハッ、とわれに返る。
振り向くロミオ。
ジェシカが後ろに立っていた。
震える目でジェシカを見るロミオ。
ロミオ「……。」
ジェシカ、複雑な思いで胸がいっぱいになっており、じっとロミオを見つめる。
ロミオ「ぼくは……父さんの子じゃないの?」
ロミオの目が訴えるようにジェシカを見ている。せつなく微笑するジェシカ。
ジェシカ「いつか、話そうと思ってた。もう少しだけ、大人になったら」
ロミオの肩に優しく手を置く。
ロミオ「母さん……」
ロミオ、一瞬うつむき、また顔をあげる。
ロミオ「ぼく……売られるの?」
ジェシカ、ふいをつかれるが──
じっと不安そうにジェシカを見つめるロミオ。
ジェシカ、何か考えるようなまなざしで一度、目を伏せたが──
ジェシカ「おいで。おまえに、見せたいものがあるの」

(引用終わり)

「せつなく微笑するジェシカ。
ジェシカ『いつか、話そうと思ってた。もう少しだけ、大人になったら』」

。。。ここは何度読んでもジーンとしてしまう。
本放送では少し変えてあって
「お前がもう少し大きくなったら」
となっている。

9年前。ロミオがまだ赤ん坊の頃、ロベルトとジェシカの新婚当時の思い出が描かれる。
ここは佐藤好春氏(と思う)の腕の見せ所。

佐藤氏といえば、世界名作劇場はもちろん、スタジオジブリ作品『となりのトトロ』の作画監督、『魔女の宅急便』の原画担当としても有名であることは、言うまでもない。

日本が世界に誇るアニメーターをつかまえて「絵が上手」もないものだが、失礼を承知の上で、どうしてもひとことだけ言わせていただきたい。

それは、佐藤氏がひとりの人物を年齢別に描くとき、その描き分けが実に絶妙で、惚れ惚れしてしまうということ。

ひとくちに「9年」といっても、子供と老人とでは時間の流れ方が大きく違うわけで……。
9年前のロミオはまだ赤ん坊で、ほとんど別人だし、それにひきかえ老神父のほうは、9年前も今もほとんど変わらない。

むずかしいのは、ロベルトとジェシカだろう。
20代から30代という微妙な時間の流れを、絵でどのように表現するか。

ただ、9年分若く描けということであれば、できる方も多くおられるに違いない。
佐藤氏が凄いのは、外面だけでなく内面までも描き切っているところ。
若さならではの華やかさ、キラキラ感、生命力の強さまでもが宿っているのだ。

逆に言うと、ジェシカとロベルトが、この9年間、並々ならぬ苦労を強いられたということが、佐藤氏の絵から分かるようになっている。

時間は誰にとっても平等だと言うが、その人の歩んできた人生により、顔つき、雰囲気は当然ちがってくる。

ただ生物的に若く描くだけにとどまらず、人生の軌跡さえも絵から立ち上らせてしまう表現力、洞察力の鋭さが、佐藤好春氏たる所以と思う。

また、血のつながった者同士の似せ方も、特筆に値する。

むかしバラエティ番組で、
「AさんとBさんが結婚したら、生まれてくる“Cちゃん”はきっとこんな顔」
と、合成写真をみせて笑わせる、というのを何度か観たことがある。
まあ、わざとバランスをくずして目鼻を配置するのだろうけれど。

ひとつのドラマの中で、佐藤好春氏が“Cちゃん”を描く時、“Cちゃん”の顔かたちの中に、両親それぞれの特徴と個性が、実に上手く表現される。
自然でありながら、その中に意外性もあり、何とも言えず見事なのだ。

『ロミオ〜』においても、氏の“匠の技”が随所で炸裂している。
あの感動をふたたび味わいながら、今、再視聴を続けている。


第02話「運命のはじまり・炎の中の家族」(1995/01/22)
絵コンテ・演出: 宮下新平
作画監督: 大城勝 佐藤好春
脚本: 島田満

ロミオ: 折笠愛
ロベルト: 大林隆介
ジェシカ: 藤井佳代子
ルイニ: 小村哲生
カルロ: 嶋方淳子
ピエトロ: 南杏子
アニタ: 丹下桜
エンベリーノ: くじら

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