動画のタイトルが示すとおり、アメリカの法律の不平等・差別をなくそうというのが主題だが、もうひとつ、「アイデンティティの力」というのも重要なテーマになっている。

自分の家族や親戚のうち何人かが、酒で身を持ちくずし、いとこや兄弟姉妹も、十代のころから飲酒をしている。そんな中にあって、ブライアン少年だけはまわりに流されず、52歳(動画撮影当時)になる今日まで、一滴の酒も口にしていないという。

その秘密は、小さい頃にしたおばあちゃんとの約束にあった。

。。。という、遠い国の話を聞いただけの私が、なぜ酒を飲まずにいられるようになったのか。

自分でもよく分からないけれど、断酒してから(というより、この動画を見て、酒を飲む気が失せてから)ひと月以上なんとか過ごせているのは、この動画のおかげだ。
それ以外に理由が思いつかない。

冷静に考えてみると、酒は百薬の長どころか、百害あって一利なしだ。

脳は縮むし、翌日は何も手につかないし、金は使うし、太るし、モノは壊すし、(今まで何個のメガネを壊したことか!)暴言は吐くし、(今まで何個の人間関係を〜!)

しかし、アタマでは分かっていてもやめられないのが人間というものでございまして。

自己弁護になってしまうが、それでやめられるのであれば、アルコール依存症になる人などいない。禁煙も、勉強も、ダイエットも、なんだって簡単に成功するだろう。

つまり、理性で欲望をおさえつけることは非常にむずかしい。

なのに、この動画を見ただけでやめられた。
実を言うと、おばあちゃんの話にはウソが混じっていたということが後々わかる。
にもかかわらず、この動画は(ブライアン氏はともかく)赤の他人である私に効果をおよぼし続けている。
そこが不思議だ。

それで思い出したことがある。
「日本レスリング界の父」といわれる八田一朗氏の本にあったエピソードだ。

八田氏は、結婚してから子供が授かるまでの三年間、禁酒し続けたのだそうな。

八田氏の強靱な意志力にも驚かされる。
これも理性というよりは、まだ見ぬ我が子への愛、心の奥深くからわき出る力によるものだと思う。
まあでもこの話はすごすぎて、真似する気になれない。

ブライアン氏について、ほかにも何か印象的なエピソードがあるかと思って著書「Just Mercy」を読んでみたが、ご自身や家族のことは残念ながらほとんど書かれていなかった。

本の内容は、いったん死刑を宣告された人がブライアン氏の東奔西走により逆転無罪を勝ち取った話など、とてもエキサイティングで素晴らしいものであった。

たった5分の話が、人の人生を大きく変えてしまうこともある。
心というのは、つくづく不思議だ。


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