森本梢子作品の中でいちばん好きだ。
「デカワンコ」で森本先生を知った私は、そのあと「アシガール」「高台家の人々」と読み進んだ。
なので、この人はファンタジー系の作家さんなんだなと思い込んでいた。
ところが「研修医なな子」を読んでビックリ。
バリバリにリアルな医療漫画ではないか。
しかも笑えるという。

あとがきに先生ご本人が書かれていたが、
「これを描いた人は現役の研修医か、または医療関係者に違いない」
という噂が立ったというのも充分にうなずける。

とてつもない取材力だ。
またそこにとどまらず、過酷きわまりない世界をくったくなく笑える境地にまで持っていくのだから、もうケチのつけようがない。

さらに最終巻でビッグ・サプライズ。
ページを埋めるためにいくつか短編が収録されているのだが、そのなかの「死の詩が聞こえる」という、扉絵を入れて7ページのマンガが超絶に面白い。

死んだヘンな人、の霊が見えてしまう女の子の話で、後に妄想ファンタジー系作家として大ブレイクする萌芽をここで見せている。

こんなすごいのを描かれたら、そりゃあ編集者は「次の作品はぜひこの路線で!」となるよなあ。

この洗練度と画力に太刀打ちできるのは江口寿史先生しかおられないのではないか。
少なくともこの時期において、お二方のセンスは近いような気がする。
空間の使い方が実にうまいというか。
マンガってのは描き込めばいいってもんじゃないんだよってことを教えてくれる。

「研修医なな子」はドラマにもなったそうで。
主演は佐藤藍子さん。
それから伊東四朗、保阪尚輝、国分太一、柳沢慎吾、つぶやきシロー、矢部美穂・・・・・・。
うーん、どういうテイストに仕上がっているのか想像がつかない。
怖いもの見たさもありつつ、うーん、うーん・・・・・・。