TOEICテストで満点を取ると宣言したと聞いて、この人なら本当に取るだろうと思っていたら、やっぱり本当に取っちゃった凄い人、「清涼院流水の小説作法」を読んでみた。

とても前向きで意志が強く、良い意味で楽観主義の方だという印象。
草稿の推敲回数が、50〜100回というから恐れ入る。

ここまでいくともはや苦行。
人間、為せばなるというが、清涼院氏に不可能という文字はないのではないか。
歩いて世界一周とかしちゃいそう。

世界といえば、氏が立ち上げたプロジェクト「the BBB」では、日本製コンテンツを英語圏に向けて積極的に発信している。
ご自身も森博嗣氏のミステリなどを英訳されている。

言葉の壁を乗り越えられれば、マーケットが一気に何十倍にふくれあがる。
日本作品が世界を席巻するのは素晴らしいことだし、作家の方々の収入や地位も今以上に良くなり、更に活況を呈する可能性も大だ。

それを考えると、英語習得はもはや必須と言わざるを得ない。
清涼院氏の先読みの鋭さには敬服するばかりだ。

ネットレビューでは辛口評も散見される氏の小説だが、それは何人かの慎み深い日本人にとって、清涼院氏の自己肯定的な性格が癪に障るからだろう。
同じ事をスティーブ・ジョブズが言えば、かの人たちは有り難がるだろうに。

かの人たちがネガティブ投稿を繰り返している間に、清涼院氏はどんどん未来を見すえて進んでいく。
ボヤボヤしていては離される一方だ。
我々も氏のガッツを見習って、未来へ向けて歩き出そう。

(以下、引用です)

ぼくが世に出た翌月デビューの乙一さんは天才型作家の代表選手ですが、ぼくの場合は才能ではなく、泥臭いほどの必死さ、懸命さでかろうじて作家になることができたと思いますし、ぼくが過去に合計100人以上見てきた作家志望者たちがほとんど作家になれなかったのは、まさにその「必死さ」と「懸命さ」に欠けていたからではないか、とも思っています。自分より才能のある人はたくさん見てきましたが、かつてのぼくより必死かつ懸命に小説に取り組んでいる作家志望者には会ったことがありません。差があるとすれば、そこだけだと思います。
ぼくの持論では、人間の才能や能力には、そんなに差はありません。しかし、人間の心の持ちようには驚くほど差があり、それだけが結果の明暗を分けるのだと信じています。

ぼくの学生時代には、小説を読んだ「数」を誇る人が、たくさんいました。ところが、彼らは速読ばかりしているので、いざ作品について話を振ってみると、「おぼえていない」という返答が驚くほど多くありました。もし読書記録などをつけていれば、おぼえている可能性は高まるでしょうが、いずれにしても、速読だけでは作品のエッセンスは吸収できない、というのがぼくの考えです。ぼくは学生時代から現在まで、たくさんの作家志望者を見てきましたが、速読ばかりしている人がいい作品を書いたケースは、一例も記憶にありません。はっとさせられる輝きを秘めた作品を書くのは、本を精読することの多い書き手たちでした。速読がすべてダメだとは言いませんが、せめて、自分がなにかを学びとろうと思っている本だけでも、できるだけ繰り返し精読したほうが、得られるものは多くなります。10冊の本を流し読みするより、1冊の本を10回精読したほうが、確実に大きな学びが得られるのです。

まず自分に書ける分量から試しに小説を書き始めてみたら、すぐに「うまく書けなくなる壁」にぶつかるはずです。そうした時に有効なのは、自分が好きな作品や影響を受けた作品の一部分を書き写してみるトレーニング方法です。
(中略)
自分が気に入った他の作家の文章を写しまくることで、自分好みの文章が明確になり、徐々に自分のスタイルができてきます(写すといっても自分の作中に写すのは盗作ですから、あくまでトレーニングとして写すのです)。

読みやすい文章を書くコツは、2つあります。「何度も読み返すこと」と「客観的に読者の目で読むこと」です。その2つを徹底すれば、だれでも必ず読みやすい文章が書けます。何度も読み返す、というのは5〜10回ではなく、50回とか100回の単位で全文を読み返すのです(これは決して大げさな表現ではありません)。それだけ読み返しながら手直しすれば自然と読みやすい文章になりますし、自分の書いた文章を嫌でも記憶してしまうのです。

学生時代に試験勉強を一夜漬けでするような感覚で、小説の執筆もギリギリまで追いつめられてから一夜漬けでやる人がプロアマを問わず多いですが、実は、ふだんからこつこつ積み重ねていくほうが無理がなく、安定して高い生産性を維持することができるのです。
文章を書くのが得意な人たちにとって、「1日に原稿用紙10枚」という数字は、ぜんぜん大した文章ではありません。ぼく自身も、ある1日に限定して原稿用紙10枚を書くだけなら、どんなに体調が悪くても余裕でこなせます。しかし、それを毎日のように継続させることが難しいのです。たとえ1日10枚でも、ほぼ毎日続ければ1年で3600枚(長編小説5〜12冊程度の分量)です。1年でこれだけの原稿を書ける(実際に書いている)作家というのは、実は数えるほどしかいません。


br_banner_kokuban