糖質制限ダイエットのまねごとをしている。
確かに痩せてはいる。(75kg→71kg)
だがここにきてちょっと不安が出てきた。
それは、「脳のパフォーマンスが以前より落ちてはいないか」ということ。

「脳のエネルギー源であるブドウ糖が欠乏しても、ケトン体で代用できます」
ということだが、その「代用」って100%機能しているの? それとも90%?

そう問われれば、アンチ糖質派の先生がたはおそらく、
「全然大丈夫。なぜならこの私も、糖質制限をされている患者さんも、以前と全く同じ活動ができているからです。むしろ良くなっているくらいです」
などと仰るのだろうけれど。

しかし知りたいのは「個人の感想」ではない。
ブドウ糖を摂取している場合と、完全に断っている場合のパフォーマンスの違いを、IQやEQ、または運動などにおける比較データで示してほしいのだ。

いくら体重が落ちてスリムになっても、一日中ボーッとしているようでは本末転倒だ。
「それでもいい。とにかく痩せさえすればいい」
という方もいらっしゃるだろう。
一方で、私のように、
「10キロ増えてもかまわない、健康なままで脳力が10ポイント上がるのならそっちがいい」
という人も少なくないと思う。

また、アンチ糖質派の先生方の著書を見ると、要注意食品リストの中に、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、玉ねぎ、にんじん、などが入っている。

これらの野菜は、糖質の数値が高いというだけでNG(または要注意食品)とされているのだが、違和感を覚えずにいられない。
それらの野菜を断つことで糖尿病は予防できるとしても、こんどは他の病気にかかりやすくなったりはしないのか。
体が必要とする栄養素が不足しているのではないか。

それから、アンチ糖質派の先生方の多くが攻撃的なのも気に掛かる。
日本糖質学会と相容れないのは分かる。が、アイツを叩きつぶさずにおくものかという態度をそこまであらわにしなくても、と感じることがしばしばある。

それより国民の健康のため、それぞれの知見を持ち寄り、よりよい食生活の向上を目指して力を合わせ、なんて考えは…お呼びでない? こりゃまた失礼いたしました。

医学上の論争は今までに数え切れないほどあった。
そしてその多くは悲劇を生んできた。

あの森鴎外でさえ、医師としてのメンツにこだわりすぎたか、結果的に数万人の死者を出してしまった。(脚気論争)

ただでさえプライドが高い医者の先生だ。
もし相手方に有利な検査結果が出たとして、そのとき素直に「間違っていたのは私のほうでした」と表明できるだろうか。

そこまでいかないにしても、自分にとって不都合な事実に遭遇したとき、黙殺してしまおう、あるいは大したことではないと思い込もうとする意識が働きはしないか。
大いに懸念されるところだ。

アンチ糖質派の先生の中には、月刊誌のように本を出している方がおられる。
そんなに毎月新たに書くべきことがあるのか。
また、世に溢れかえる低糖質食品の中で、なぜか特定のメーカーのみを宣伝されている方もおられる。
ブームが去る前に、せっせと預金通常の額を増やしておこうということですね、と勘ぐりたくもなる。

そういうわけで不安要素は以下の3点。

1.「脳や体への影響」
2.「自説の正当性」に固執するあまりに冷静さを欠いている恐れ
3.「糖質制限」「ケトン体」と謳ってさえいれば儲かる現状からくる研究の停滞

このあたりの懸念が払拭されないことには、糖質制限ダイエットを支持しつづけるのは難しい。

ジョコビッチの生まれ変わる食事
シリコンバレー式 自分を変える最強の食事
が売れている理由がこれで分かった。

生業できっちり稼いでる彼らにとって、本が売れようが売れまいが大した問題ではない。
それに、仮に自説が間違っていたとしても、「もっと良い方法が見つかりました。これからはそちらに鞍替えします」と言える立場にある。

医師の方々にもこれくらいのリベラルさを持っていただきたいものだが、自ら退路を断ってしまった感があるので、もはや叶わないか。

糖質制限食は、糖尿病の治療には有効かも知れない。
炭水化物をとらないことにより体重が減るというオマケがつくのも嬉しい。

ただ、健康な人間がそれをやることで、デメリットはまったくないのか、日常のパフォーマンスの低下を引き起こしていないか、そのあたりの真摯な検証が望まれる。


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