これはめちゃくちゃ面白かった。
著者は雑誌「ニューヨーカー」にコラムを書き、かつ現役の医師でもある。
11のエピソードからなり、そのどれもオチが決まっている。ただ者ではない。
また取り上げるトピックスのほとんどが興味深い。

戦争における医療の最前線。
医師の治癒率のランク(要するに腕の良さ)は公表すべきであるか。
死刑執行にかかわる医師の法的立場とその本音。
壮絶な出産の話。などなど。

アメリカがしょっちゅう戦争に関わることの是非はさておき、兵士の命だけは何が何でも守る!という姿勢は正直羨ましい。
太平洋戦争で負けた日本を、食料や医療をほとんど与えられずに死んでいった兵隊や民間人を、ことさら思い出す時期であるだけに、なおいっそう。

ガワンデの著書はほかにもいくつか翻訳されているようなので漁ってみたい。
本書の翻訳を担当された原井宏明氏も現役の医師だそう。
とても読みやすい訳だった。

メジャーリーグでトップの選手だろうと、一度もエラーをしない人はいない。
またエラーしたからといって、誰かに訴訟を起こされるわけでもない。
それを考えると、医師というものがどれだけリスキーな職業であることか。

これは本書の中に登場する比喩。
こういうのがふんだんに出てくるところも本書の魅力のひとつ。
新刊が出たら絶対に買いだ。


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