第3若草を出版してから15年もの間があいたとは思えないほど、この第4若草は充実している。
それはもう驚くほどにいろんな事件が起こる。さっそく見ていきたい。

あらすじ
(完全ネタバレしています)

あれから10年、プラムフィールドの子どもたちは成長し、その多くはローレンス大学の学生となっていた。

大学名から察せられるように、ローレンスお爺さまの遺産によりこの大学は設立された。
学長を務めるのはベア先生だ。

ベア先生の愛する妻、ジョー先生は売れっ子作家でもある。
そのお陰で大学の運営が楽になったのはいいが、ファンが毎日ジョーたちの家へ押しかけてくるのがたまにキズだ。

こんなことなら作家になんかならなけりゃ良かったと嘆くジョーの前に懐かしい顔が現われた。
何とあの悪ガキだったダンがひょっこり帰ってきたのだ。
ダンはゴールドラッシュに沸き返るカリフォルニアで一財産作って、これから農場でもやるつもりのようだ。

だが一つところにじっとしていることのできないダンには、過酷な運命が待ち受けていた。
旅先で知り合った少年に慕われ、共に行動しているうち、少年がトラブルに巻き込まれ、助けに入ったダンは人を殺めてしまったのだ。

ダンは1年服役したのちに出所。
プラムフィールドの仲間たちにはいっさい知らせず、炭鉱で働き始める。
そこで落盤事故が発生。
ダンは獅子奮迅の働きを見せ、多くの炭鉱夫の命を助けるが、自身は重傷を負ってしまう。

ダンの活躍は美談として新聞に紹介された。
そこではじめてジョー先生たちはダンの居場所を知る。
仲間がすぐに病院まで駆けつけ、嫌がるダンを無理やりプラムフィールドへ連れて帰る。
昔の面影が失せたダンの姿をみて、ジョーたちは何も聞かず、そっとしてやるのだった。

ダンはその後、ベスに想いを寄せる。
ベスというのは若草四姉妹の末っ子エイミーの娘で「ブロンド姫」とあだ名されるほどの美貌の持ち主だ。
ダンの秘かな想いに気づいたジョー先生は、ベスをダンに近づけないよう両親に忠告する。
ちょっと冷酷に思われるかも知れないが、ベスの両親がダンとの付き合いを許すはずがないことは目に見えていたので…。

身分違いの恋だとは、本人が一番よく分かっていた。
思いを胸に秘め、ダンは再び旅に出るのだった。

そのダンと同じ時期にプラムフィールドに入学したナット少年は現在どうなっているかというと、バイオリニストを目指してドイツ留学中だ。

最初のうちこそ順調だったが、周りの学生たちの豪奢な生活につられて、自分も身分不相応な見栄を張るようになってしまっていた。

勉強までもおろそかになり、このままでは破綻かと思われたとき、ジョー先生からの励ましの手紙が届く。
これでようやく自分を取り戻し、心機一転、極貧生活からやり直す決心をする。

そのうち周りの信用も勝ち得て、音楽の仕事などを紹介してもらうようになり、借金をほぼ返済する。
さらには教授の斡旋で、オーケストラの演奏旅行に同行させてもらえるまでになる。

この頃のナットの心意気が素晴らしい。本文より引用させていただく。

ナットは、自分が借金で借りた豪華な部屋に住んでいるのではなく、きちんと仕事をして、つつましく暮らしているところを友だちに見せられたことを、ほんとうにうれしく思った。

プラムフィールド学園の男子で、大変な目に遭った男の子がもう一人いる。
二等航海士となったエーミールだ。
客船で航海中に、火事が出て沈没してしまうのだ。

かろうじてボートで脱出できたものの、お客さんや荒くれ航海士、けが人などを乗せて何日間も漂流、食糧は尽き、ケンカや食料の奪い合いが起き始める。

だがエーミールはジョー先生のかつての教えを胸に抱いて踏ん張り、ついに救助される。
さらにその時一緒だった乗客の女性と結婚に至るのだった。

プラムフィールドの名物女子と言えばやはりこの人、おてんばナンだろう。
世界名作劇場アニメ「ナンとジョー先生」での、佐藤好春先生の描くナンが今でも忘れられない。

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が、青い鳥文庫のナンは、何とストレートロングの知的な美女なのである。
いやもちろんそれは第4若草での、20歳になったナンのことで、前巻でのナン(10歳)は相応のイタズラ娘ふうに描かれているのだけれど…それにしても藤田香先生の描く「青い鳥文庫版」ナンは、今までのイメージを一掃してくれて、個人的には本当にありがたかった。
あのイラストがなかったら、これほど新鮮な気持ちで読めはしなかったろう。

そのナンは全くぶれることなく、医者への道を歩み続けている。
そしてまた全くぶれることなく、10年間彼女に惚れ続けているのがトミーだ。

そんなトミーを神様が哀れに思ったのか、突然別の女の子とお近づきになり、あっという間に結婚してしまった。
一方ナンのほうはというと、医学に身を捧げ、一生独身で通したようだ。

プラムフィールドの子どもたちが全員成功を収めたわけでは、もちろんない。
あまりやる気のない学生時代を過ごし、凡庸な人生を送った者もいる。

だが誰の心の内にもジョー先生、ベア先生の教えは生き続けていた、と思いたい。
もし、あの先生方と出会わなかったら、彼らの人生は全く違ったものになっていたはずだ。

みんないつも仲が良かった。
大人になってもそれは変わらなかった。
読んでいてとても幸せな気持ちになれた。

まったく新しい意匠で古典「若草物語」を再提示して下さった青い鳥文庫の発案者の方には感謝の言葉しかない。
あの表紙でなければ、まず手に取らなかった。

ひとりでも多くの人が「若草」たちと出会えますように───。

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「若草物語 青い鳥文庫」オルコット・著 | 藤田香のイラスト付きでとても読みやすい。

「若草物語2 夢のお城 青い鳥文庫」オルコット・著 | 別れ、そして新たなる出会い。

「若草物語3 ジョーの魔法 青い鳥文庫」オルコット・著 | 青い鳥文庫で読むからこそ面白い。


最後に。。。

「若草物語」1〜4を読んでいる時、「プロジェクト・グーテンベルク」というサイトがあることを知った。
上のサイトでは著作権の切れた作品のテキストが公開されている。
作品によっては音声ファイルもあり、どちらも無料でダウンロードできる。

原文を味わいたい方、あるいは英語を勉強中の方は、活用されてみてはいかが。

「若草物語」原文テキスト
Little Women by Louisa May Alcott - Free Ebook

「若草物語」英語音声
Little Women by Louisa May Alcott - Free Ebook

「プロジェクト・グーテンベルク」over 50,000 free ebooks!
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プロジェクト・グーテンベルク - Wikipedia
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。印刷の父、ヨハネス・グーテンベルクの名を冠し、人類に対する貢献を目指している。※ Wikipediaより転載