全体の10分の9まで読み進んでもテンションが上がらず、という東野作品は初めてかも知れない。
どうも出だしでつまずいたようだ。

※ 11ページ目までのネタバレあります!







物語は、母娘が実家へ帰るところから幕を開ける。
そこへお爺ちゃんから電話が。
これから酔っ払い運転をして帰ると言う。
それをやめさせるために母娘は自転車で迎えに行く。
二人乗りで。

これでこちらは話に乗れなくなってしまった。
「たかが二人乗りくらいで」と言われるかも知れない。
たしかに酔っ払い運転に較べたら、罪は軽いだろう。

だが、現実にそんな親子を街で見かけたらどう思うだろうか。
「ルールくらい守れよ」と不快になるか、
あるいは「事故りはしないだろうか」と心配になるだろう。
少なくとも、「よし、あの親子を応援しよう」とは思わないはずだ。

さらに、二人の会話から察するに、パパは国内トップクラスの脳外科医らしい。
だとしたら家庭はかなり裕福だろう。
電話で代行サービスを頼めなかったものか。

お爺ちゃんはちょくちょく酔っ払い運転をしているようだ。
そうお婆ちゃんがこぼしている。
これは放置でいいのか。

義理の息子が医者として患者の命を救う一方で、義父は走る凶器と化している、というのは。
それを思うと読んでいてどうにも落ち着かない。

こちらの心配をよそに母娘は自転車二人乗りを敢行。
そこへ突然の竜巻発生。
直ぐそばの事務所らしき建物に駆け込む。
なかには女子事務員が一人。

了解を得て、最寄りの机の下へ潜り込む二人。
だが無情にも竜巻が直撃。建物はほぼ全壊。母親は命を落としてしまう。
娘は無事。そして事務員は…事務員の安否についての記述がない。
この事務員はどうなったのだろうか。

ここまでで11ページ。

このあとだんだん面白くなってくるのだけれども、もはや対岸の火事を見ているような感じで、あまり盛り上がれず。
何とか読み終えるも、カタルシスは殆ど得られなかった。

そうなった理由はほかにもある。
登場人物の何人かが必要以上に情報を出し惜しみするのだ。

なにかというと、
「今は言えない」
「あなたの知ったことではない」
「それは後で話す」
「知らないほうがいい」
とくる。
車の運転に例えると、交差点でいちいち赤に引っかかる感じだ。

さらに、いったん読者に与えられた情報が「実は大嘘でした」というくだりがあって、今思い返しても、そんなことをする必要があったのかなと首をかしげてしまう。

いつもの東野作品にみられる、謎が読者をぐいぐい引っ張っていってくれる心地よさがは、今回感じられなかった。
次作に期待したい。

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<東野圭吾作品 - 極私的星取り表>
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番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。