100年近く前に作られた映画なのに、めちゃめちゃ面白い。
これほど愛くるしい作品もそうないだろう。
日本語字幕がついていないので、いちいちDVDをとめ、ネットで翻訳しながら観たのだが、それだけの価値は充分あった。

女性恐怖症(?)の青年が、結婚を強要され、やむなく人形を花嫁に仕立ててどうにか凌ぎきろうとするのだが…というお話。
この人形を演じるのが、オッシ・オズバルダ。
可愛いけれども、エキセントリック。それでいて憎めないんだなあ。

ルビッチ監督は、このあとドイツからアメリカに渡り、大成功を収めるわけだけれど、後年の作品群には見られないハチャメチャさがとても楽しい。じつに味の良い一本。
見終わったあとも、ついついリピート再生してDVDを回し続けてしまった。

ルビッチ本人もこの作品を大変気に入っていたようだ。
彼が晩年(1947)に、映画関係者に送った手紙が「ルビッチ・タッチ」という本の中で紹介されている。
誠に勝手ながら、本作に関連する部分を一部引用させていただいた。

私がドイツ時代に監督したコメディのなかから秀作を挙げるとすると、『牡蠣の王女』『花嫁人形』『白黒姉妹』の三本になります。(中略)
『花嫁人形』は(『牡蠣の王女』とは)また全然異なるスタイからできあがっていましたが、『牡蠣の王女』と同じく、これもあらゆる点で大成功でした。これは純然たる空想物で、セットの大部分はボール紙、一部は薄っぺらな紙でできていました。いま現在でも、私はこれを私の作品のなかでもっとも想像力に富んだ一本と考えています。


br_banner_kokuban

The Doll (= Die Puppe) 1919 [Movie Walker]より一部転載

監督 エルンスト・ルビッチ
脚本 ハンス・クレリ
脚色 エルンスト・ルビッチ
原作 A・E・ボルナー
撮影 テオドール・スパルクール
美術 クルト・リヒター

キャスト
マックス・クロネルト
ヘルマン・ティーミッヒ
ビクトル・ヤンソン
マルガ・ケーラー
オッシ・オズバルダ
ゲルハルト・リッターバント
ヨゼフィーネ・ドラ

関連リンク : エルンスト・ルビッチ監督作品(いちおう年代順です)
★★☆☆☆ 『牡蠣の王女』(1919・ドイツ)

★★★★★ 『花嫁人形』(1919・ドイツ)

★★★☆☆ 『デセプション』(1920・ドイツ)

★★★★☆ 『結婚哲学』(1924・アメリカ)

★★☆☆☆ 『ウィンダミア夫人の扇』(1925・アメリカ)

★★☆☆☆ 『山の王者』(1929・アメリカ)

★★★☆☆ 『ラブ・パレード』(1929・アメリカ)

★★★☆☆ 上質な時間、『モンテカルロ』(1930・アメリカ)

★★★☆☆ 『陽気な中尉さん』(1931・アメリカ)

★★★★☆ 『私の殺した男』(1932・アメリカ)

★★★☆☆ 『君とひととき』(1932・アメリカ)

★★☆☆☆ 『極楽特急』(1932・アメリカ)

★★★☆☆ 『生活の設計』(1933・アメリカ)

★★★☆☆ 『メリー・ウィドウ』(1934・アメリカ)

★★★★☆ 『天使』(1937・アメリカ)

★☆☆☆☆ 『青髭八人目の妻』(1938・アメリカ)

★★★★★ 『ニノチカ』(1939・アメリカ)

★★★★☆ 『街角 桃色の店』(1940・アメリカ)

★★☆☆☆ 『淑女超特急』(1941・アメリカ)

★★★★★ 『生きるべきか死ぬべきか』(1942・アメリカ)

★★★★☆ 『天国は待ってくれる』(1943・アメリカ)

★☆☆☆☆ 『ロイヤル・スキャンダル』『クルニー・ブラウン』『あのアーミン毛皮の貴婦人』

<書籍>

「ルビッチ・タッチ」ハーマン・G・ワインバーグ(著),宮本高晴(訳)