明日、10月4日は小林正樹監督(1916-1996)の命日ということで、『この広い空のどこかに』を観賞。

じつはその前に同監督作品『あなた買います』(1956)という、プロ野球スカウト合戦を描いた映画を見たのだけれど、あまり感ずるところがなかった。
このぶんでは『この広い〜』も期待できないかなと思いながら、おそるおそる見始めた。

下町の酒屋さんが舞台で、店番をしている浦辺粂子と、買い物に来た三好栄子の会話からスタート。
いかにもな説明ゼリフが繰り広げられ、出だしこそもっさりしているが、佐田啓二(言わずと知れた中井貴一のお父様)と高峰秀子の名演などにより、どんどん良くなっていく。

若い酒屋の主人、佐田啓二はお嫁さんをもらったばかり。
新妻の久我美子はなかなか家に馴染めずにいる。
姑の浦辺粂子も悪い人ではないのだけれど、ついついイヤミを滲ませてしまう。

高峰秀子は、佐田の実妹で戦災により足が不自由になってしまった。
そのことが彼女をひねくれさせてもいるようだ。

浦辺と高峰の母娘コンビが久我美子をいじめる側で、佐田と実弟の石濱朗がかばう側。
そんな感じの一家が、徐々にわかり合い、絆を深めていくというお話。

途中からかなりウルウルきてしまった。
ハッとするシーンがいくつもあった。
これは観てよかった。

店のある通りのセットがまるで『男はつらいよ』シリーズそのもの。
店の中から通りを写すカメラ・アングルもそっくり。
もしかしたら同じ撮影所で撮られたのかも。

佐田啓二、高峰秀子に負けず劣らず、久我美子、浦辺粂子も好演している。
が、なにしろ高峰秀子がうまい、うますぎる。
こりゃあ引く手あまたなわけよね。

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『この広い空のどこかに』 (Wikipediaより一部転載)

監督:小林正樹
製作:久保光三
脚本:楠田芳子
潤色:松山善三
撮影:森田俊保
音楽:木下忠司

キャスト
主人・良一:佐田啓二
妻・ひろ子:久我美子
妹・泰子:高峰秀子
弟・登:石濱朗
母・しげ:浦辺粂子
信吉:内田良平
信吉の妹・房子:小林トシ子
俊どん:大木実
三井:田浦正巳
夏子:中北千枝子
今井:日守新一
息子:光村譲
嫁:棚橋マリ
近所の老婆:三好栄子