本日は山本嘉次郎監督の命日ということで(1902-1974)、『加藤隼戦闘隊』を観てみた。

何も命日にわざわざ戦意高揚映画を選ばずともいいだろうに、この物好きが!と天国の山本監督に怒られそうだが、代表作はあらかた見てしまいましたので、なにとぞご勘弁を(汗)。

国策映画なので軍が全面協力している。
当然のことながらホンモノの迫力だ。
(特撮部分は円谷英二が担当)。

主演の藤田進は、まるで熱血学園ドラマの教師のようなノリで好感度高し。
コーヒー・ミル(映画では『コーヒー挽き』と言っている)を買ってきて、部下たちにごちそうしたり。

このあたりに山本監督らしさを感じた。
あとは洗濯物がたなびくカットを差し挟むところとか。

パイロットが主役の映画というのは、飛行中の感情を演出するのがなかなか難しく、どの監督も苦労されているようだ。

この問題に関して、ちょっとうまいやり方を考えたのがビリー・ワイルダーで、『翼よ! あれが巴里の灯だ』というリンドバーグの伝記映画では、主役のジェームズ・スチュワートに、コクピット内のハエかなにかに語りかけるという形で真情を吐露させていた。

で、山本監督はどう処理されたかというと、これはもう堂々と「疲労」とか「錯覚」とか「混迷」という、サイレント映画さながらのテロップを入れている。

映画を映像で見せなくてどうするよ、という意見もおありだろうが、これはこれで分かりやすくて良いのではないかと思う。

今や再現不能な、本物の戦闘機、軍服、空戦(もちろん模擬戦だが)が見られるという意味において、たいへん価値の高い映画と思う。

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『加藤隼戦闘隊』(allcinemaより一部転載)

監督:山本嘉次郎
製作:村治夫
脚本:山崎謙太、山本嘉次郎
撮影:三村明
美術:松山祟
音楽:鈴木静一
特技監督:円谷英一

出演:
藤田進
高田稔
中村彰
大河内伝次郎
志村喬
黒川弥太郎
灰田勝彦