妻の親友と良人(おっと)が不倫…というのは実際よくありそう。
このいかにも危うい二人を、高峰秀子と清川虹子が「猫にカツオ節」に例えている。
うーん、うまいこと言う。

せっかくの肉親からのご忠告を、正妻(…考えてみたらすごい言葉だ)である千葉早智子は笑って取り合わない。
むしろ、親友(入江たか子)と夫(高田稔)がそう見られていることを面白がったりしている。
この心理も分からないではない。
そうすることで友情の絆を確かめ合いたいという気持ちもあったのかも。

でもねえ…猫はカツオ節に目がないから。

監督は山本嘉次郎。
1902(明治35年)生まれだから、このとき35歳。
本作の翌年に『綴り方教室』、
その3年後に『馬』を発表する。
この頃が全盛期と考えてよいかも知れない。

夫婦の食卓シーンを、平気で背中から撮ったりしている。
これはかなり新鮮。
森田芳光監督が『家族ゲーム』(1983)で、食卓シーンをあえて横並びで映し、話題をさらったことが思い出される。
あのような気負いがない分、余計に凄味を感じる。

それから良人である「信也」を呼ぶ女性たちがアクセントを「SHI」ではなく、「YA」につけているところも流行を70年も先取りしている…って、これはたまたまか。

ちなみに高峰秀子はこのとき13歳。
女優というより子役といった感じ。

『綴方教室』で高峰秀子の母親を演じることになる清川虹子が強烈な印象を残す。
この人好きだなあ。
清水宏監督の『小原庄助さん』でもいい味を出していたのを思い出した。

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『小原庄助さん』(1949・日本)93点。

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『良人の貞操』

監督: 山本嘉次郎
原作: 吉屋信子
脚本: 木村千依男、山本嘉次郎

出演:
入江たか子
高田稔
千葉早智子
丸山定夫
高峰秀子
堤真佐子
関口喜美子
清川虹子