どうかまたスキー小説じゃありませんように、
と念じながら、おそるおそるページをめくる。
ほっ、どうやら第一関門突破。

となると、さすが東野圭吾、読みやすいことこの上ない。
魅力的なナゾの提示もあり、スイスイと進んでいく。
引きつけるだけ引きつけておいて、いよいよクライマックス…。

これがどうにもかんばしくない。
一番盛り上がるはずの最後の4分の3は流し読み。
うーん、残念。

厳密に言うとこれはミステリではないだろう。
だからいけないというつもりは毛頭ない。

過去に事件があり、読者に伏せられたいくつかのナゾを効果的に開示していく───という手法は、大抵の犯罪ドラマで使われている。

犯罪に計画性や隠蔽工作がほどこされると、ミステリと呼ぶに値するものになっていくのだけれど、本作品は犯行が場当たり的でどうにもパッとしなかった。

(大傑作「容疑者Xの献身」の犯人の美学は凄かったですね)

いえ、計画性が無くてもいいんですけれどね。
なんか美しくないんだなあ。
それとテーマの一つである「死刑廃止」論もどうなのかと。
そういううんちくが聞きたいわけでもない。
それに登場人物がとうとうと自説を述べるのって、読んでいるほうはそんなに盛り上がらない。
私だけかも知れないが。

相変わらず健在なのが「のけぞった」という表現。
東野ファンにはおなじみ、
昔だと「ぎゃふん」、今だと「ズコー」みたいなときに使われるアレですよ、アレ。
これにお目にかかった瞬間、
「ああ、今わたしは東野作品を読んでいるんだなあ」
と、至福に包まれるのです。

次作に期待。

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<東野圭吾作品 - 極私的星取り表>
★★★★★ 「容疑者Xの献身」
★★★★★ 「真夏の方程式
★★★★★ 「白夜行
★★★★★ 「卒業
★★★★★ 「眠りの森
★★★★☆ 「マスカレード・イブ
★★★★☆ 「人魚の眠る家
★★★★☆ 「どちらかが彼女を殺した
★★★★☆ 「新参者
★★★☆☆ 「マスカレード・ホテル
★★★☆☆ 「片想い
★★★☆☆ 「赤い指
★★★☆☆ 「嘘をもうひとつだけ
★★★☆☆ 「私が彼を殺した
★★★☆☆ 「悪意
★★☆☆☆ 「ラプラスの魔女
★★☆☆☆ 「虚ろな十字架
★★☆☆☆ 「麒麟の翼
★★☆☆☆ 「宿命
★★☆☆☆ 「名探偵の掟
★★☆☆☆ 「カッコウの卵は誰のもの
★☆☆☆☆ 「夜明けの街で
★☆☆☆☆ 「パラドックス13
★☆☆☆☆ 「ナミヤ雑貨店の奇蹟
★☆☆☆☆ 「危険なビーナス

番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。