本書から大変なワザを授かってしまった。
それは「小学4年生」に戻ったつもりになること。

さっそく10歳の気分でミステリを読んでみる。
もちろん10歳なのだから、スピードはゆっくりと。
朗読するよりもっと遅いくらい。

すると、あらビックリ。
めちゃめちゃ面白いじゃありませんか。
こんなに感動できたのは久しぶり。

ミステリ読みは、エキスパートになればなるほど、ミステリがつまらなくなる。
とは、よく言われる話。

「このトリックは、アレのパクリ」だとか、
「探偵が類型的すぎる」とか、批判ばかり先立つようになってしまい、
もはや何のために読んでいるのか分からない。

でも、本当はミステリがつまらなくなったのではなく、自分の感受性が鈍くなっていただけなのだ。
大人になった現在でも、気持ちの持ち方しだいでは、
世界がキラキラしていた小学生の頃に戻れるということを、この本から教わった。
今度はこのやり方で映画を観てみよう。

あと、この本に刺激されて「何か新しいことをしなくちゃ」と思い立ち、
囲碁と百人一首(暗記)を始めた。
これも"くらたさん"効果のひとつ。

というわけで、とても実践的な刺激をくれる本です。
出会えて良かった!

(以下、引用)

通勤電車を「遠足」にしちゃえと思った

気分によって景色は変わる

そんなことに気づいた日でした。そしてこの日、「通勤電車遠足の術」が誕生したのです。
当初はほんとのリアルな思い出を発想の助けにつかってました。そのうち小学四年くらいの思い出がいちばん効くんだな、とわかった。あくまでも私の場合はってことですけどね。だけど、そればっかりつかってると、だんだんマンネリになってくる。さて、どうするか。
俳優の演技の本の中にスタニラフスキー理論っていうのを発見。ジェームス・ディーンとかマーロン・ブランドも生徒だったとか。自分流に解釈して勝手にこの理論を通勤電車に導入。
昔に戻るんじゃなくて、今ボクって小学四年なんだもんね、って思うことです。
29歳でも小四、35歳でも小四、今や50を過ぎても小四になっちゃうっていう技術。

知らないうちに「現場の叩き上げ」をやっていた

私の仕事は、原稿を受け取ったり、資料を届けたりという単純なトラフィック業務。
遠藤周作が人生相談をしていた。開高健が世界中で魚を釣っていた。黒鉄ヒロシが一コマ漫画を描き、富島健夫がエッチ小説を書き、柴田錬三郎が「眠狂四郎」を連載していた。狂四郎のイラストを描いていたのは横尾忠則だった。漫画家、カメラマン、女優、歌手、スポーツ選手…、数えきれないほどの有名人に会った。作家としての石原慎太郎にも。
(中略)
このバイトをただの単純作業にしちゃったらつまんないよなあ、と。せっかく毎日すごい有名人に会ってるんだもん…。何か話したいな…、何かつかみとれないかなあ…、なんて。
で、どうしたかっていいますとね。相手がもし作家なら一夜漬けでその著書を二、三冊読んじゃう。イラストレーターだったら作品集みたいなのを、貧乏だから買えないんだけど、本屋とかで必死に立ち見、立ち読みしちゃう。そうやって相手に関する情報を仕入れておくのです。
そして、すきをねらって一言、
「エッセイ、読んだんですけど、あそこの場面、すごかったですね」
もちろん空振りもたくさんあった。だけど大当たりすることもある。
「ふーん、学生なのによく読んでるねえ、まあ、中に上がりなさい」

>マーケティングをカラダに叩きこむ

カラオケに行ったら、「全員拍手」が目標です。(中略)
「その店にいる全員の拍手をゲットせよ!」
これがミッションです。これだけ。でもむずかしいですよ。今度やってみるといい。(中略)
「すいません、くらたさん、アドバイスください」
「さっきからメニュー本ばかり見てるじゃん。それじゃ拍手、ぜったいもらえないぜ」まわりが見えていないじゃないか、と。あっちは30代くらいの男女グループ、こっちは背広の上司と部下か、あっちは私服だけど学生にしちゃ年いってるよな、自由業かな…とか。
お客さんのことを知ろうとしてないだろって。自分やほかの人が歌っている時、「あの人はこんなジャンルの曲に笑ってた」「あの曲に拍手してた」なんていうのが見えるだろ、と。
「とらばーゆ」を作る時に自分なんか捨てていた。「自分が何したいか」なんて考えていなかった。「女子がどうしたいか」を真剣に考えることができたからこそ、うまくいったわけです。
カラオケ・スナックの人たちは何が聴きたいのか、何が聴きたくないのかっていうことです。
「歌おうとするなよ」「メニュー本ばっか見るなよ」と。「選曲ばかりしちゃダメだ」って。

「時間軸」はあらゆる職種をプロデューサーに変える

明らかに「住宅」は空間商品ですよね。間取りとか階数とか広さとか、床とか壁とか階段とか…。どれもすごく重要なスペックではありますけど、でも結局スペック(仕様)にすぎない。
それよりも「ここでどんな豊かな時間が過ごせるか」っていう方が大きな判断基準になる。
旅館も建物ですけど、利用するのはだいたい一泊二日。つまり18時間なんですよ。
壁も廊下も風呂も広間も、もちろんどれもみんな重要です。ではありますけれども…。

わが宿の18時間をどのように気持ちよくしてさしあげるか

こう思って接していただいた方が、こちらとしてはよっぽど嬉しいですよね。
女将さんにお会いすると、そろそろ改築とか増築なんていう話がよく出ます。でもおカネばかりかかって、いったいどれだけ効果があるのか保証のかぎりじゃありません。
その前に、お客さまの気持ちになって、アナログでやることがいっぱいあると思います。
女将さんは、「18時間ドラマ」のプロデューサーなのです。
時間軸で発想すると、あらゆる職種がプロデューサーに変わると思います。

マズローの「欲求階層論」も、ひらがなに翻訳する

有名な「欲求の階層論の仮説」をやさしく翻訳できたら、つかいやすいんじゃないかなと思った。

1 生理的欲求……食べたい、飲みたい、寝たい(睡眠もエッチも含めて)

2 安全と安定の欲求……安らぎたい、落ち着きたい、ホッとしたい

3 所属と愛の欲求……入りたい、連なりたい、仲間になりたい

4 承認欲求……認められたい、ほめられたい、拍手されたい

5 自己実現の欲求……しあわせな思い出をつくりたい

やっと翻訳ができた。
どんなにささやかなアイデアも、ものすごく大きな構想も、めざすところは同じだ。
他人(ひと)の気持ちを良くすること。他人のしあわせな思い出づくりの、お手伝いをすることだ。

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