まずは豪華なラインナップに圧倒される。

阿川佐和子、石田衣良、江國香織、大沢在昌、荻原浩、角田光代、北方謙三、北村薫、小池真理子、桜庭一樹、椎名誠、朱川湊人、白石一文、高野和明、辻村深月、藤田宜永、誉田哲也、道尾秀介、皆川博子、森村誠一、夢枕獏。(あいうえお順)

デビューから順調だった方から苦節ン十年という方まで。
作家になったのは“必然"、あるいは“業"であるという方、それとは正反対に、あくまでもビジネスと割り切っておられる方、それぞれの哲学を非常に興味深く読ませてもらった。

恥ずかしながら、まだ一冊も読んだことのない作家の方が半数以上おられる。

誉田哲也氏「武士道シックスティーン」は、映画がじつに良かった(とくに主演の成海璃子と北乃きい)ので、これを機に読んでみようかな。

高野和明氏「ジェノサイド」は受賞歴が凄い。
山田風太郎賞、
日本推理作家協会賞、
「このミステリーがすごい!」1位、
「週刊文春ミステリーベスト10」1位。

実は持っています。だが5ページで挫折した。情けない…(泣)。再挑戦します。

辻村深月氏は、何冊か読んだことがある。以下の文章に惹きつけられたので、こちらも読んでみようかと思っている。

『冷たい校舎の時は止まる』は高校生一人ひとりの心情や空気感みたいなところを評価してくださった方がすごく多かったんです。具体的なモデルはいませんが、自分が見てきた教室の空気、世代の空気を、それを共有していたクラスメートたちに無断で、まるで私ひとりが気づいていたかのように売り渡してしまったという罪悪感がありました。〜

…お一方だけ、コイツの本だけは絶対読んでやるものかと思ってしまった方もいたが、それは例外中の例外。
あとの20人の作家さんについては興味を抱く結果となったし、このような本の存在はとても意義があると思う。

さらに、北上次郎氏の解説は非常にためになった。
誠に勝手ながら、以下に引用させていただく。
1. 完成度は求めない

それよりも、はっとする会話、おやっと思うほどのキャラクター造形、あるいは新鮮な描写、そういうものがあればいい。その全部があればもちろん言うまでもないが、そのうちの一つでいい。(後略)

2. ストーリーはどうでもいい

誤解を招きやすい言い方だが、ストーリーはあとから自然についてくる。それよりもどのシーンから始めるのかというアイディア、誰の視点で書くのかという構成、どの枝道を膨らませるのかという挿話の検討───そういう細部のほうが重要だ。(後略)

4. 三作目までに勝負作を出すこと

(前略)もっと具体的に書けば、100ページまでの間に、何かこうはっとするような描写なり会話なり、その作家の得意技を出してほしい。実は私、どんなに退屈な小説でも100ページまでは読むが、そこまでに新鮮な描写、あるいははっとする会話、魅力的な人物が出てこないと、この先を読んでもたぶんだめだろうから、その時間があるなら他の本を読もうと断念することが少なくない。(後略)

これはエンタメ全般に通じる至言と思う。
でもさすが北上氏、どんな本でも100ページは読んであげるんだ。優しいお人だ。見習わねば。

最後に、気になる執筆時間をまとめてみた。
ほとんどの方が、ものすごく頑張っていらっしゃる。感嘆してしまった。
それくらいの気構えがないと作家には到底なれないのだろう。

(以下、引用)
阿川佐和子
執筆のペース = 1日5〜10枚
最も影響を受けた作家・作品 = 向田邦子のエッセイ

石田衣良
執筆のペース = ばらばら
最も影響を受けた作家・作品 = あまりない

江國香織
執筆のペース = 1日に3枚から5枚
最も影響を受けた作家・作品 = 石井桃子

大沢在昌
執筆のペース = 1日2〜3時間
最も影響を受けた作家・作品 = チャンドラー「待っている」、生島治郎「男たちのブルース」

荻原浩
執筆のペース = 1日7,8時間
最も影響を受けた作家・作品 = カート・ボネガット

角田光代
執筆のペース = 月曜日から金曜日まで、午前9時から午後5時まで
最も影響を受けた作家・作品 = 開高健「輝ける闇」

北方謙三
執筆のペース = 月250枚くらい
最も影響を受けた作家・作品 = ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」

北村薫
執筆のペース = 1日に10枚書けたら、頑張ったということ
最も影響を受けた作家・作品 = 今にいたる、すべての作品

小池真理子
執筆のペース = 1日5〜8枚
最も影響を受けた作家・作品 = カミュ「異邦人」

桜庭一樹
執筆のペース = 1日3時間ぐらい。15〜20枚
最も影響を受けた作家・作品 = ガルシア=マルケス「百年の孤独」

椎名誠
執筆のペース = 月に、原稿用紙で200枚くらい
最も影響を受けた作家・作品 = 宮沢賢治

朱川湊人
執筆のペース = 1日3枚(デビュー以前)
最も影響を受けた作家・作品 = レイ・ブラッドベリ

白石一文
執筆のペース = 毎日書いてはいないです
最も影響を受けた作家・作品 = カミュ「異邦人」

高野和明
執筆のペース = 作品によりけり。1日2.5枚〜11枚
最も影響を受けた作家・作品 = W・P・ブラッティ「エクソシスト」、宮部みゆき「魔術はささやく」「火車」

辻村深月
執筆のペース = ?
最も影響を受けた作家・作品 = 綾辻行人「館」シリーズ

藤田宜永
執筆のペース = 月に140〜300枚
最も影響を受けた作家・作品 = 吉行淳之介「驟雨」

誉田哲也
執筆のペース = 午前8時〜午後7時(途中休憩あり)
最も影響を受けた作家・作品 = 夢枕獏「上弦の月を喰べる獅子」

道尾秀介
執筆のペース = 1日10枚
最も影響を受けた作家・作品 = 都筑道夫「怪奇小説という題名の怪奇小説」

皆川博子
執筆のペース = 若いころは1日10枚〜20枚
最も影響を受けた作家・作品 = 塚本邦雄「詞華美術館」、ブルーノ・シュルツ

森村誠一
執筆のペース = 月300枚ぐらい
最も影響を受けた作家・作品 = デュマ「モンテ・クリスト伯」、ロマン・ロラン

夢枕獏
執筆のペース = 月200枚前後(昔は600枚)
最も影響を受けた作家・作品 = 「西遊記」、手塚治虫

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