あのエルンスト・ルビッチが衝撃を受けたと言うくらいだから、当時としては斬新な演出がふんだんに盛り込まれているのだろう。
その後、猫も杓子もマネしまくったせいか、今やどこが革新的だったのか分からなくなってしまい、う〜んと首をかしげてしまうが。

あらすじは単純。(ネタバレあります!)

パリへ駆け落ちしようとする若いカップル。
彼氏のジャンが行けなくなり、マリーは一人で汽車に乗り込む。

1年後、金持ちピエールの愛人となっていたマリーは、ジャンとバッタリ。
彼は母親とパリに出てきて貧乏絵描きをやっていた。
二人の恋は再燃しかかるが、結局ダメで、挙げ句の果てにジャンは拳銃自殺。
その後、マリーはジャンの母親と田舎に戻り、孤児院をやっていく───というお話。

あらためてストーリーを振り返っても、なんで? と引っかかるところがいくつかある。
まあ言っても詮ないので飛ばしますが。

見どころは金持ちピエール役のアドルフ・マンジューか。
上流階級の陰の部分がこれでもかと言うくらいに伝わってきた。
ここまで来ると、アンタは悪魔か! と言いたくなる。

愛人となっているマリーは別に拘束されているわけではない。
外見は豪奢で、心の内は空っぽという、そんな自分に引き裂かれそうになりながらも、踏ん切りをつけられずにいるのだ。

そんな彼女を、まるでモルモットを観察するかのように扱うマンジュー。
「イヤならいつだって別れてもいいんだよ?」
実際マリーのような女性はマンジューの周りにいくらでもたむろしている。

アドルフ・マンジューに、
「本当にしょうがないヤツだね、お前は」
と、憐れみとも侮蔑ともつかない笑みを浮かべられたら、もう死にたくなってしまうくらいの屈辱を覚えるんじゃないかなあ。

いきなり孤児院経営という展開には面食らったが、いつまでもパリのあだ花でいるよりも、早いうちに足を洗えたのはマリーにとって良いことだったと思いたい。

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A Woman of Paris (Wikipediaより一部転載)

監督・脚本・製作・音楽
チャールズ・チャップリン

キャスト
エドナ・パーバイアンス – マリー・サン・クレール
アドルフ・マンジュー – ピエール・ルベル
カール・ミラー – ジャン・ミレ
リディア・ノット – ジャンの母
チャールズ・K・フレンチ – ジャンの父
クラレンス・ゲルダート – マリーの父
ベティ・モリセイ – フィフィ
マルビナ・ポロ – ポーレット
ヘンリー・バーグマン(クレジットなし) – ウェイター長
チャールズ・チャップリン(クレジットなし) – 荷運び人