あまりに人気がありすぎるからか、長い間リメイクされなかったテレビ番組『奥さまは魔女』が映画になって蘇った。

監督は、
『めぐり逢えたら』(1993)
『ユー・ガット・メール』(1998)の
ノーラ・エフロン。

主演はニコール・キッドマンとウィル・フェレル。
二人とも大好きな俳優だ。
だが上手くかみ合っているのか、一抹の不安が残る。

二人は本作でゴールデンラズベリー賞・最悪カップル賞を受賞したからだ。
ただでさえ良い評判が聞こえてこないこの映画、とんでもなくひどい出来かも知れない。

だがすべては杞憂に終わった。
オリジナルにとらわれない映画版はとてもキュートで、現代が良く反映された内容だった。

思うに、本国アメリカでの評価が著しく低いのは、皆さんテレビ版を愛しすぎて、もはや心の聖域にまつられてあるからではないか。
もう誰が何をやっても、「こんなの『奥さまは魔女』じゃない!」状態なのでは。

確かに映画はオリジナルを凌駕しているとまでは言えない。
ダーリン役のウィル・フェレルも良き夫というにはほど遠いキャラクターだ。

だがあのふてぶてしさが、図々しさが、暑苦しさが、うざさがいいのだ(褒めています)。
彼のオーバー・アクトには何度も爆笑させられてしまった。

昔、NHKでよく放送していた「アクターズ・スタジオ・インタビュー」のパロディで、ジェームズ・リプトンが
例の真面目な顔をして、傷口に塩をすり込むような質問をするところなどもツボにはまった。

そして主役のニコール・キッドマン。
どこか不安げで自信なさげな彼女の様子は、オリジナル(1964~1972)にはみられなかったキャラクターと思う。

ほかにもノーラ・エフロン監督が新しく付け足した設定がある。

それはN・キッドマン扮するイザベル(もちろん魔女)に職に就かせ、さらに人間の友だちを二人持たせたことだ。

ダーリンだけを見つめていれば良いサマンサと対称的に、職場で自分を通すためにケンカをし、泣かされて、友人に愚痴るイザベル。

どちらが好きかは人それぞれだが、選べるとしたらあなたはどちらの生き方? と問われれば、"2005年版魔女"イザベルのほうに軍配が上がるのではないか。

オリジナル版は、「どんな事態になろうと最後はハッピーエンド」という、どっしりした安定感に寄りかかって観ていられた。

しかし本作は、イザベラと一緒にハラハラドキドキ、これにゲラゲラクスクスまで加わり、感情を揺さぶられっぱなし。
まんまとノーラ・エフロンにしてやられたわけだ。

アメリカで散々な評価だろうが関係ない。私は高く評価する。
本作はオリジナルへの敬意に満ちた、"新しき"「奥さまは魔女」だ。

あらすじ (ネタバレあります!)

落ち目の映画俳優ジャック(ウィル・フェレル)は、テレビ『奥さまは魔女』のリメイクに俳優生命をかける。
でも、「女優が自分より目立っちゃやだ」と駄々をこね、無名の俳優を探すことに。

街で、人間界にやってきたばかりの魔女イザベル(ニコール・キッドマン)を見かけ、口説き倒すジャック。
かくして撮影は開始されたが、たび重なるジャックの横暴さにイザベルがついにブチギレ大げんか。

しかし、何がきっかけになるかはわからないもので、今度は急接近していく二人なのであった…。

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Bewitched (2005) (シネマトゥディより一部転載)

監督: ノーラ・エフロン
製作: ルーシー・フィッシャー/ペニー・マーシャル/ダグラス・ウィック/ノーラ・エフロン
製作総指揮: ジェームズ・W・スコッチドープル/スティーブン・H・バーマン/ボビー・コーエン
脚本: ノーラ・エフロン/デリア・エフロン/アダム・マッケイ
撮影: ジョン・リンドレー
衣装デザイン: メアリー・ゾフレス
編集: スティーブン・A・ロッター/ティア・ノーラン
音楽: ジョージ・フェントン

キャスト
ニコール・キッドマン
ウィル・フェレル
シャーリー・マクレーン
マイケル・ケイン
ジェイソン・シュワルツマン
ヘザー・バーンズ
クリスティン・チェノウェス