今日はキャロル・リード監督の命日。
(1976年4月25日、満69歳没 Wikipediaより)

『第三の男』が何と言っても有名だけれど、負けず劣らずの傑作『ミュンヘンへの夜行列車』を久しぶりに観てみた。

いやあ、これは絶品。
極上のミステリを読んだ後のような爽快感を、観るたびに感じる。

たとえるならば、全体の10分の9まで読み終えているのに、皆目犯人が分からないというあのスリリングな感じ。

こんなんでちゃんと終わるんかいな、との心配をよそに驚天動地のどんでん返しを喰らい、昇天…という心地よさが本作にはある。

この脚本を書いた人が、もし今の日本に生まれていたら「ガラスの仮面」や「金田一少年の事件簿」なみのヒットをかっ飛ばすことだろう。

これと『落ちた偶像』もオススメです。

『落ちた偶像』(1948・イギリス)77点。ネタバレ感想 : 23時の雑記帳

あらすじ(ネタバレあります!)

第二次世界大戦開戦前夜。
チェコスロバキアの科学者、ボマーシュ博士(ジェイムズ・ハーコート)がつくる有力兵器も完成間近。

身柄をナチスに狙われてはマズいということで英国に出国する。
ところが博士の娘アンナ(マーガレット・ロックウッド)は、ナチスに逮捕され、強制収容所に送られてしまう。

そこである男と知り合うアンナ。
泣く子も黙るナチスに公然と刃向かう男の名はカール・マーセン(ポール・ヘンリード)と言った。

カールはアンナを連れて脱走する。
さらに英国の入国にまで成功するのだが…実はカールはナチスの諜報員だった。
そりゃあうまいこといくわけだ。

だまされているとも知らず、すっかりカールに頼り切りのアンナは、彼の指図の通りに行動し、父親の居場所を教えてしまう。
かくして父娘はナチスに拉致されてしまった。

まんまとナチスに出し抜かれた英国諜報部員のガス・ベネット(レックス・ハリソン)は父娘の奪還に動き出す。

まずはドイツのヘルツォフ少佐という架空の人物に化けたベネット、やすやすと軍部の侵入に成功する。

父娘は、運良く建物内に軟禁されていた。
ヘルツォフ少佐(=ベネット)は、父娘をホテルに移し、ゆっくりと説得に当たる(ふりをする)。
ヘルツォフ少佐が実は味方だと知った父娘は、彼の芝居につきあっていくことになる。

そこまでは上手く事を運べたのだが、すぐに父娘をミュンヘンに移送するよう,本部から命令が下る。

…それにしても、ベネットがついつい吹いた口笛のメロディが「英国の曲ですね?」と突っ込まれたりするところ…本当にハラハラさせてくれる。

ミュンヘン行きの夜行列車の乗客は、8割がナチス、2割が一般人という構成だった。

ここで登場するのがズッコケ紳士二人組。
(ベイジル・ラドフォード、ノーントン・ウェイン)

ヘルツォフ少佐を見て、思わず
「私の知っている英国人に瓜二つですね」
と声をかけてしまったからさあ大変。

本人は一蹴するも、ナチス側からは疑いの目で見られ、ついにはミュンヘン到着前に正体がばれてしまう。

そんなこととはつゆ知らないベネットと父娘、
「ナチスへの協力を要請する少佐と、拒み続ける父娘」
というお題の三文芝居をいっしょうけんめい演じ続けている。

ベネットの正体がばれている、ということをひょんな事から知ったズッコケ二人組は、どうにかして本人にそのことを知らせたい。
なぜなら彼らは車中で、事あるごとにナチスにひどい目に遭わされてきたから。
でもまあここは「義憤に駆られて」と受け取っておきましょう。

だが、ベネットの周りにはナチスがうようよ。さあどうする?

ここで二人はある方法を思いつき、どうにか伝達に成功する。

ミュンヘン駅はもちろん厳戒態勢。
ホームに降りたとたん拉致されるのは目に見えている。

だがベネットは二人組にも協力してもらい、頭脳プレイで包囲網をくぐり抜ける。

ベネットたちが向かうのはスイス。
そのすぐ後をナチスが追ってくる。

国境さえ越えれば安全だ。しかし、その前を峡谷が大きな口を開けて阻んでいる。

越えるにはロープウェイを使うしかないのだが、誰か一人は発進レバーを倒すためにドイツ側に残らねばならないわけで…。

当然とばかりにその役を買って出るベネット。漢だねぇ!

命を捨てる覚悟の銃撃戦が始まる。

…が、互いに弾が当たらないこと、この上ない。
20発に1発くらいしか当たっていないんじゃないか。
だが、こういう演出のほうがかえって現実味が増すように思われる。

ロープウェイがスイスに着くまでの所用時間は4分。
父娘たちは無事に送り届けることができた。
ロープウェイは往路・復路の2台あるので、ベネット側にも1台届いたことになる。

ベネットは奇跡的に乗ることまではできた。
カタカタカタ…とロープウェイはゆっくりとスイスに向かっていくけれど、そう簡単には問屋が卸してくれない。

ナチスがロープウェイのレバーを逆に倒すと、ベネットの乗った箱はふたたびUターンし始める。

ついに弾も尽きた。
カタカタカタ…とナチスの元へ送られていく丸腰のベネット。
(この恐怖感! 地獄行きの火車とはこのことか)
今度こそ本当に絶体絶命!!!

…エンディングまでもう1分も残っていないところで、みたびベネットは奇跡を起こし、大団円を迎えるのでした〜。
キャロル・リード監督、バンザイ!

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Night Train to Munich (allcinemaより一部転載)

監督: キャロル・リード
製作: エドワード・ブラック
原案: ゴードン・ウェルスリー
脚本: シドニー・ギリアット、フランク・ローンダー、ゴードン・ウェルスリー
撮影: オットー・カンツレク
音楽: ルイス・レビ

出演:
レックス・ハリソン
ポール・ヘンリード
マーガレット・ロックウッド
ベイジル・ラドフォード
ノーントン・ウェイン
フェリックス・アイルマー
ローランド・カルバー