体調の悪化や、プロデューサーのごり押しキャスティングなど、様々な要因があったのだろう、ルビッチ監督最後の3作品は不調に終わってしまった。

簡単に触れて終わらせたいと思う。

まずは『ロイヤル・スキャンダル』(1945・アメリカ)


監督はオットー・プレミンジャー名義。
タイトルに「ルビッチのロイヤル〜」と出てくる。

ルビッチ監督作品『禁断の楽園 Forbidden Paradise』(1924)のリメイク。

幸運にもオリジナルをネットで観賞できた。
主役の二人は、オリジナルの方が断然良いように感じた
こちらの方をDVD化して欲しいのだけれど、サイレントは売れないのだろうなあ。

DVD解説によると、
撮影中、ルビッチはセットの片隅に座り、スタジオでプレミンジャーに目を光らせ、出演しているビンセント・プライスによればプレミンジャーが「喜劇が処刑する」のを見守っていたという。

引用文中の

「プレミンジャーが『喜劇が処刑する』」

の部分は、おそらく

「プレミンジャーが『喜劇“を"処刑する』」
か、
「プレミンジャー“を"『喜劇が処刑する』」
のどちらかと思うが、
まあとにかくそのような出来と思っていただければ。

『小間使 クルニー・ブラウン』(1946・アメリカ)


現在は絶版で、2015年4月22日現在「14,200円」の値段がついているが、
内容は上中下で言えば、下だろうなあ。
途中、薬局の主人が出てくるあたりでかろうじて笑えるが。

なぜか「ルービッチュ」表記。
検索に引っかかりづらいこともあって、こういうDVDが存在することを長い間知らなかった。

『あのアーミン毛皮の貴婦人』(1948・アメリカ)


主役のベティ・グレイブルは第二次世界大戦当時、“百万ドルの脚線美"とうたわれたピンナップガールでもあったそうな。
本作では、歌にダンスに演技に大奮闘している。

だが、ルビッチの体調が悪化してしまい、撮影後半部分を残して、オットー・プレミンジャーと監督交代せざるを得なくなってしまった。

もしもルビッチの体調が良かったら、それなりの作品に仕上がっていたことだろう。
音楽(アルフレッド・ニューマン)は素晴らしかった。

思うに、ルビッチがその手腕を遺憾なく発揮する時というのは、峰不二子タイプの“大人の女性"がキャスティングされた時で、ベティ・グレイブルのような、“すっぴん健康美少女"タイプだと、あまり創作意欲がわかないのではないだろうか。これは勝手な妄想。

以上の3作品に『淑女超特急』も入れようか迷ったのだけれど、
メルビン・ダグラスが孤軍奮闘しているし、“ルビッチ・タッチ"は確かに感じられるので、いつか単独で記事を書きたいと思う。

そうそう、本日ようやく書籍「ルビッチ・タッチ」が届いた。

ルビッチ・タッチ
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ハーマン・G・ワインバーグ
国書刊行会
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値段がなんと4,860円!
こんなに高い本を買ったのは生まれて初めてだよ、もう。(泣)
しっかりと読みこんで、元をとらねば。

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関連リンク : エルンスト・ルビッチ監督作品(いちおう年代順です)
★★☆☆☆ 『牡蠣の王女』(1919・ドイツ)

★★★★★ 『花嫁人形』(1919・ドイツ)

★★★☆☆ 『デセプション』(1920・ドイツ)

★★★★☆ 『結婚哲学』(1924・アメリカ)

★★☆☆☆ 『ウィンダミア夫人の扇』(1925・アメリカ)

★★☆☆☆ 『山の王者』(1929・アメリカ)

★★★☆☆ 『ラブ・パレード』(1929・アメリカ)

★★★☆☆ 上質な時間、『モンテカルロ』(1930・アメリカ)

★★★☆☆ 『陽気な中尉さん』(1931・アメリカ)

★★★★☆ 『私の殺した男』(1932・アメリカ)

★★★☆☆ 『君とひととき』(1932・アメリカ)

★★☆☆☆ 『極楽特急』(1932・アメリカ)

★★★☆☆ 『生活の設計』(1933・アメリカ)

★★★☆☆ 『メリー・ウィドウ』(1934・アメリカ)

★★★★☆ 『天使』(1937・アメリカ)

★☆☆☆☆ 『青髭八人目の妻』(1938・アメリカ)

★★★★★ 『ニノチカ』(1939・アメリカ)

★★★★☆ 『街角 桃色の店』(1940・アメリカ)

★★☆☆☆ 『淑女超特急』(1941・アメリカ)

★★★★★ 『生きるべきか死ぬべきか』(1942・アメリカ)

★★★★☆ 『天国は待ってくれる』(1943・アメリカ)

★☆☆☆☆ 『ロイヤル・スキャンダル』『クルニー・ブラウン』『あのアーミン毛皮の貴婦人』

<書籍>

「ルビッチ・タッチ」ハーマン・G・ワインバーグ(著),宮本高晴(訳)