泥棒が主人公の映画はあまり好きになれない。
人様のモノを盗んで、それでのうのうと暮らすのは虫が良すぎるというものだ。

せめて悪事を働いた分だけでも、映画の中で災難に遭ってくれないと、と思いながら観ているので、主人公がどんなピンチに陥ろうが全く盛り上がれない。

本作ではリリー(ミリアム・ホプキンス)とガストン(ハーバート・マーシャル)がタッグを組んで、化粧品会社の大富豪コレ夫人(ケイ・フランシス)からお金を盗もうとする。

ところがガストンが夫人に惚れてしまい、リリーが嫉妬に狂う。
そのシーンでのリリーのセリフが面白い。

「ジゴロなんかに成り下がって。泥棒の誇りはどうしたのよ」

なるほど、いろんな価値観があるものだなあ。

あらすじ(ネタバレあります!)

大富豪のフランシス(エドワード・エベレット・ホートン)が医者に扮した怪盗ガストンに睡眠薬をかがされ、大金を盗まれる。

そのガストンからサイフを盗んだリリー。
がしかしガストンは全てお見通しだった。
二人は意気投合する。

ガストンは、オペラ座に観劇に来ていたコレ夫人のバッグを盗む。
翌日の新聞に「バッグを見つけた方に2万フラン差し上げます」との広告を見つけて、ガストンはラバルという偽名で、拾い主を装って持って行く。

そこでコレ夫人に気に入られたラバル(=ガストン)は秘書に採用される。
たちまち頭角を現わしていくラバルは、リリーをも会社に潜り込ませることに成功する。

そんなラバルを苦々しく思っているのが会社の古株連中。
最高責任者のジロン(C・オーブリー・スミス)はラバルの履歴に虚偽を見つける。

さらに財布をとられたフランシスも、ラバルが盗んだのではないかと怪しみ始めている。
(フランシスはコレ夫人にぞっこんで、事あるごとに顔を出すのだ)

このへんが潮時と、ラバルとリリーは逃亡の準備にかかる。
リリーはコレ夫人の金庫から10万フランを失敬する。

最後の夜、コレ夫人の部屋で共に過ごすラバル。
夫人が金庫を開けようとするのをどうにか阻止したい。
ラバルは最後の切り札を出す。

彼はこの時すでに、古株のジロンが長年にわたり帳簿をごまかしていることをつかんでいた。

それを聞いた夫人は、ジロンの名誉と引き替えという形で、警察に通報するのを思いとどまる。

これでラバルはリリーの罪をかぶったことになるわけだが、このあとリリーがコレ夫人に真相をぶちまける。

リリーは二人に捨てゼリフを残して去って行く。
だがラバルが選んだパートナーはリリーのほうだった。

ラバルは去り際に、盗んだネックレスを夫人に見せる。

「それは会社からリリーにあげたのよ」
そう言ってコレ夫人は微笑むのだった───。

un ladron en la alcoba 3

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関連リンク : エルンスト・ルビッチ監督作品(いちおう年代順です)
★★☆☆☆ 『牡蠣の王女』(1919・ドイツ)

★★★★★ 『花嫁人形』(1919・ドイツ)

★★★☆☆ 『デセプション』(1920・ドイツ)

★★★★☆ 『結婚哲学』(1924・アメリカ)

★★☆☆☆ 『ウィンダミア夫人の扇』(1925・アメリカ)

★★☆☆☆ 『山の王者』(1929・アメリカ)

★★★☆☆ 『ラブ・パレード』(1929・アメリカ)

★★★☆☆ 上質な時間、『モンテカルロ』(1930・アメリカ)

★★★☆☆ 『陽気な中尉さん』(1931・アメリカ)

★★★★☆ 『私の殺した男』(1932・アメリカ)

★★★☆☆ 『君とひととき』(1932・アメリカ)

★★☆☆☆ 『極楽特急』(1932・アメリカ)

★★★☆☆ 『生活の設計』(1933・アメリカ)

★★★☆☆ 『メリー・ウィドウ』(1934・アメリカ)

★★★★☆ 『天使』(1937・アメリカ)

★☆☆☆☆ 『青髭八人目の妻』(1938・アメリカ)

★★★★★ 『ニノチカ』(1939・アメリカ)

★★★★☆ 『街角 桃色の店』(1940・アメリカ)

★★☆☆☆ 『淑女超特急』(1941・アメリカ)

★★★★★ 『生きるべきか死ぬべきか』(1942・アメリカ)

★★★★☆ 『天国は待ってくれる』(1943・アメリカ)

★☆☆☆☆ 『ロイヤル・スキャンダル』『クルニー・ブラウン』『あのアーミン毛皮の貴婦人』

<書籍>

「ルビッチ・タッチ」ハーマン・G・ワインバーグ(著),宮本高晴(訳)

Trouble in Paradise

監督 - エルンスト・ルビッチ
脚本 - グローバー・ジョーンズ
脚色 - サムソン・ラファエルソン
原作戯曲 - ラスロ・アラダール
撮影 - ビクター・ミルナー

キャスト
ミリアム・ホプキンス - Lily
ケイ・フランシス - Marianne
ハーバート・マーシャル - Gaston
チャールズ・ラグルス - The_Major
エドワード・エベレット・ホートン - Francois
C・オーブリー・スミス - Giron
ロバート・グレイグ - Jacques(The_Butler)