過去100年間で、地球上で生を受けた女性の中で最も美しいのは誰か、というアンケートが実施されたら、1位はおそらくグレタ・ガルボだろう。
そんなことを考えてしまうくらいに、この映画の彼女は美しい。
と思ったら、ガルボは1905年生まれだった。
過去「109」年の間に、と条件を変えなければいけないな(笑)。

ガルボはスエーデン生まれ。
ハリウッド進出3作目となる本作でスターの座を手に入れたという。
このときまだ21歳。
信じがたい妖艶さである。
魂を吸い取られるんじゃないかというような濃厚なキスを披露している。
当然(?)日本では、検閲でカットされたそうだ。

本作を未見の方は、
とっつきにくいサイレント映画で、
しかもタイトルが「肉体と悪魔」だから、
暗くて重い内容なんだろうとお思いのことだろう。
これが全くそんなことがない。

絶対に信じてもらえないことを承知で書くが、とんでもないところでギャグが入ってくる。
このノリはまるで「クレヨンしんちゃん」である。
笑うより何よりもビックリしてしまった。
クラレンス・ブラウン監督、恐るべしである。

今回は、スカパー!衛星劇場
「大林宣彦のいつか見た映画館」にて観賞。

衛星劇場|ワールドフォーカス

やっぱり名監督は名画を知る、といったところか。
末永く番組を続けていただきたいものである。



あらすじ(ネタバレあり)

レオ(ジョン・ギルバート)とウルリッヒ(ラース・ハンソン)は子供の頃からの親友。
二人が「友情の島」と名付けた、湖に浮かぶ島で血の契りを交わしたほど。

そのときに立ち会ったのはウルリッヒの妹ヘルタ(バーバラ・ケント)。
彼女は現在に至るまでずっとレオに思いを寄せているが、相手にしてもらえていない。

レオは、駅で超絶美人(グレタ・ガルボ)を見かけ一目惚れ。
彼女の名はフェリシタス。
今度の舞踏会に参加するらしい。

レオは勢い込んで舞踏会へ。
ヘルタは「はじめてのダンスはあなたと決めていたの」
と泣かせることを言うが、申し込まれたレオのほうは「フェリシタスはいずこ」と気もそぞろ。

やっと現われたフェリシタス。
レオは、ヘルタをほっぽり出して彼女の元へ。

熱烈なダンスの後、中庭でタバコとマッチを効果的に使った有名なラブシーン。
文字通り、二人は燃え上がる。
いや、燃えているのはレオだけか……。

フェリシタスの家で、けだるいひとときを過ごす二人。
そこへ夫が帰ってきた。
フェリシタスは人妻だったのだ。

不倫現場を目の当たりにして夫は茫然自失。
ここでフェリシタスがまったく動じていないのがなんともふてぶてしいというか、かっこいいというか。

「ごめんなさいね、レオ。愛しているのよ、夫を」

この状況でこんな言葉が吐けるフェリシタス。
悪女も甚だしいというか、ここまでくれば見上げたものだというか。

レオと旦那は決闘するはめに。
ただし、旦那の体面をおもんぱかって、決闘の理由は妻の不倫ではなく、カードでのいざこざが元で、ということで合意。

この決闘で勝ったのはレオ。
旦那は死亡。
どの喪服を着ていくか、じつに楽しそうに悩むフェリシタス。
ここまでくるとあっぱれです。

レオは軍法会議にかけられ、5年間のアフリカ行きを命ぜられる。
申し遅れましたが、レオとウルリッヒは軍人なのです。

フェリシタスとレオはベンチに座り、愛を確認し合う。
まあフェリシタスのほうはそうでもないんだけれど、恋は盲目状態のレオにはそんなことまったく見えていない。

この二人の会話を盗み聞きしている者がいた。
教会の牧師である。

つまり、町の人々は決闘の理由をカードのいざこざと思い込んでいるが、牧師だけはフェリシタスの不貞が本当の理由だと知ったわけだ。

レオは親友のウルリッヒに、何かとフェリシタスの力になってくれるよう頼んでからアフリカに旅立つ。

ウルリッヒはいい奴なので、そのとおりフェリシタスを気にかける。
気のないそぶりのフェリシタス。
でもウルリッヒの端正な男前ぶりを見て気が変わった模様。

「タバコに火を付けてくださる?」

危ないって!
その手に乗っちゃダメだって!

そんな視聴者の叫びが聞こえるはずもなく、やがて二人は結婚。

3年間の左遷生活を終え(5年の予定が2年縮まった)帰ってきたレオの目が点になる。

フェリシタスのとんでも女っぷりにあきれるやら、何も知らないウルリッヒには今さら事情を説明できないやらで一人悩みまくり。

結局、レオはこの夫婦と交わりを絶つことに決める。
しかしそうなると今度はウルリッヒが不思議がる。

「ああ、そうか、前夫との決闘のことがあるから私の妻と顔を合わせづらいんだな」

レオが顔を見せなくなったのを、そのように受け取ったウルリッヒはレオと会い、交誼の再開を持ちかける。
レオは首を縦に振らない。

この話を聞いている者がいた。
またあの牧師である。

彼はレオに忠告する。
「友情はあきらめろ。
だってお前はまだあの女のことを愛しているんだからな。
彼女に2度と会わぬと約束しなさい」

レオは決然と言い放つ。
「それはできません!」

その後、フェリシタスからレオに手紙。
「話があるから友情の島で会いましょう」

たぶん夫のウルリッヒから聞いたのだろう。
わざわざこの島を指定するところが陰険というかサディスティックというか。

かつて友と血判まで交わして友情を誓い合った島に出かけるレオ。
フェリシタスは言う。
「今でもあなたのことが好き」

だがレオが乗ってこないのを見ると、今度は
「私はあきらめるから、夫のために家に会いに来てやって」
仕方なくうなずくレオである。

レオの訪問に喜ぶウルリッヒ。
それを見て喜ぶ(ふりをする)フェリシタス。

教会での礼拝。
ここがクライマックス。

フェリシタスとウルリッヒが並んでいる。
通路を挟んでレオが座っている。

俄然、牧師にエンジンがかかる。
このとんでもない悪女をとっちめてやろう。
聖書には不倫の話がいっぱいあるから、それを引き合いに出して、罪深さを思い知らせてやろう。

もうフェリシタス一人に向かって話している状態の牧師。
でもここで引き下がるような女じゃないよ。
真っ赤な口紅を取り出して(モノクロなんで分からないけどここは真紅に決まってる!)、牧師をにらみつけながら塗ってみせるフェリシタス。

姐さん、かっこいいっす!!

……長くなってしまった。
この後もフェリシタスの誘惑は続く。

最後には親友同士の決闘にまで事態は悪化する。

その後どうなったかは……またの機会ということで。
ちょっと疲れました。ごめんなさい。
今日はこのへんで。
おそまつさまでした。

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参考リンク ;

肉体と悪魔 - Wikipedia

肉体と悪魔 - 映画ならKINENOTE

Flesh and the Devil (Wkipediaより転載)

監督
クラレンス・ブラウン

脚本
マリアン・エインスリー
ベンジャミン・グレイザー

原作
ヘルマン・ズーデルマン『消えぬ過去』

製作
アービング・タルバーグ

撮影
ウィリアム・ダニエルズ

編集
ロイド・ノズラー

キャスト
ジョン・ギルバート:レオ
グレタ・ガルボ:フェリシタス
ラース・ハンソン:ウルリッヒ
バーバラ・ケント:ヘルタ


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