梶芽衣子に「あなたは世界で一番かっこいい女で賞」を進呈したい。
ちなみに本作を見るまでの受賞者は「ロングキス・グッドナイト」のジーナ・デイビスだった。

三白眼という言葉は、どちらかというと容貌を否定する場合に使われている印象がある。
梶芽衣子の瞳は黒目が大きく、三白眼には当てはまらないと思うが、不思議と白目の部分が魅力的だ。

とにかくひたすらかっこよいのである。
クエンティン・タランティーノがオマージュを捧げたり、今もリメイクが作られ続けているのもうなずける。

よい機会なので、小池一夫(当時は『小池一雄』表記)・上村一夫原作のマンガも読んでみた。
週刊プレイボーイ誌上で連載されたのは40年以上も前のこと。
これが全く古くささを感じさせないから驚きだ。
上村一夫の絵に拠るところも大きいのだろう。

小池一夫(koikekazuo) Twitter

DVD特典で、梶芽衣子、小池一夫それぞれのインタビューが観られる。

当時、上村一夫はよく仕事を抜け出してはバーにフラメンコ・ギターを弾きに行くから困った、と小池御大が仰っている。
多才な人だったんだなあ、上村さんって。

余談だが現在(2014年7月)、スカパー!の衛星劇場で『11PM』というテレビ番組(1965〜1990)を再放送している。
そこで上村一夫が、スター発掘コーナーに審査員として出演していたのをたまたま見た。
メディアにもけっこう露出していたのかとちょっと驚いた。

梶芽衣子のほうは、着物の着付けや所作など、以前マキノ雅弘監督から教わったことが、この映画で非常に役に立ったと仰っていた。
ちなみに本作の監督は藤田敏八。

小道具さんが、血しぶきの加減を間違えて、全身真っ赤になったとも(笑)。

とにかく梶芽衣子がこれだけかっこいいとあっちゃあ、続編を見ずにはいられない。

あらすじ(ネタバレあり)

明治6年(1873)、日本で初めて徴兵制が導入される。
農民たちは騒然となり、各地で一揆が頻発。
その混乱に乗じて、悪事を企む4人の輩がいた。
彼らは「国に大金を納めれば徴兵が免除される」と流布し、農民たちからたっぷりを金を巻き上げた後、逐電する。

噂はもう一つあった。
徴兵逃れを取り締まるために白服を着た「徴兵官」なるものが全国を回っているというのだ。

運の悪いことに、中学教師として村に赴任してきた鹿島剛(大門正明)がまさに白い洋装だった。
鹿島と息子の司郎(内田慎一)は例の4人に惨殺される。

妻の小夜(赤座美代子)はさんざん犯されたあげく、首謀者の一人、正景徳市(地井武男)に、妻として東京に連れて行かれる。
小夜は、徳市が油断した頃を見計らって殺害。
無期徒囚として監獄に入れられる。

小夜は、自分が娑婆に出られないのなら、男の子を宿してその子に復讐を託そうと企てる。
男でありさえすれば、誰彼かまわず抱かれる小夜。

ついに妊娠、そして獄中出産。
だが生まれてきた赤ん坊は女の子だった。
赤ん坊は「雪」と名付けられた。
この子が後に「修羅雪姫」と呼ばれるようになる。

小夜はその後、獄中で死亡。
お雪は、小夜の遺志を継いで出所した三日月お寅(楠田薫)に引き取られ、道海和尚(西村晃)の下で、殺人マシンとなるべく壮絶な特訓を受けながら育てられる。

母の二十回忌を機に、お雪の復讐劇が始まった。
お雪はまず、乞食の胴元・松右衛門(高木均)を訪れ、全国の乞食ネットワークを駆使して3人の居場所を探索してもらうようお願いする。

松右衛門は引き受ける代わり、乞食の部落をつぶそうとしているヤクザの親分、柴山源三(小松方正)の暗殺を交換条件として持ち出す。
(映画はこの暗殺シーンから始まる。お雪は鮮やかな舞をみせ、目的を遂げる)

まず一人目の仇の所在が分かった。
竹村伴蔵(仲谷昇)は体を病み、海沿いの村で、娘の小笛(中田喜子)と竹夫人づくりをして生計を立てている。

竹夫人 - Wikipedia
(ちくふじん。稀に「竹婦人」とも)とは、竹で作られた筒状の抱き枕を言う。英語では、Dutch wife とも呼ばれる


だが実際にはそれではまったく食っていけず、娘の小笛は竹夫人を作ったそばから海に投げ捨て、体を売って生活費を稼いでいるのだった。

賭場で、伴蔵がイカサマを見破られ窮地に立たされているところを救ったお雪は、二人きりになったところで素性を明かす。
命乞いをする伴蔵。

「因果応報!」

お雪の鋭い叫びと同時に刀が一閃、伴蔵は息絶えた。
残された小笛を不憫に思ったか、困ったことがあったら訪ねてくるよう言い残すお雪。
この時点で、父親を殺したのがお雪だとは、もちろん知るよしもない小笛である。

次なるターゲット、塚本儀四郎は3年前に死んでいた。
悔しさのあまり墓前の花を斬るお雪。

それを見ていたのが、小さな新聞社をやっている龍嶺(りゅうれい=黒沢年雄)だ。

彼はお雪の尋常ならざる怒りに興味を持つ。
彼女に無断で道海和尚に取材をし、その復讐譚「修羅雪姫」を新聞に連載、これが大好評を博す。

ちなみに竜嶺は映画のオリジナルキャラ。
原作でこの役割を担うのは人気小説家の宮“原"外骨。

お雪の半生を新聞記者に明かしたのには、道海和尚なりの狙いがあった。
最後の仇、北浜おこの(中原早苗)をおびきだすためだったのである。

この目論見は思わぬところに波及する。
伴蔵の娘・小笛が竜嶺を訪ねてきたのだ。
小説の内容がすべて事実だと告げられた小笛は、父の仇としてお雪をつけ狙い始める。

さらに警官隊が竜嶺の新聞社にやってきた。
騒乱罪として竜嶺をしょっ引くという。
だが竜嶺が連れて行かれたところは警察署ではなく料亭だった。

実は彼らはニセ警官で、北浜おこのの指図で竜嶺を拉致したのである。
彼を人質にしてお雪をおびきだそうというのだ。

それはお雪も望むところ。
颯爽と現われ、ニセ警官たちを次々になぎ倒す。

おこのを追い詰めるところまでいくが、殺されるくらいならと、首をつって自殺するおこの。
お雪は怒りのあまり、おこのの胴体を真っ二つにする。ドサッ。

これで復讐は終わったと思われた。
お雪と竜嶺は結ばれた(たぶん)。

実は竜嶺にはお雪に隠していたことがあった。
3年前に死んだ塚本儀四郎は、竜嶺の実の父だったのである。

その儀四郎(岡田英次)が突然、竜嶺の前に現われた。
死んだというのは過去の悪事を精算するための偽装だったのだ。
そうやって警察の追っ手から免れた彼は、今や武器商人界の第一人者となっている。
竜嶺にすべてのことから手を引くように忠告し、彼は去る。

竜嶺はお雪にすべてを告白する。
そのうえで二人は過去に決着を付けるべく、儀四郎が毎夜入り浸っている鹿鳴館に乗り込んでいく。

お雪は儀四郎らしき男を追い、殺害する。しかし、その男は変装したダミーだった。

再び鹿鳴館の中を探すお雪と竜嶺。
竜嶺が先に儀四郎を見つける。

竜嶺の日本刀に対し、儀四郎はピストル。
かまわず斬りかかる竜嶺。
父親も容赦なく撃つ。

父親にしがみつき動きを封じる竜嶺。
自分の命を犠牲にしても、お雪に仇を討たせようというのだ。
お雪は父子を串刺しにする。

だが儀四郎は絶命しなかった。
お雪に向かい発砲。
お雪も最後の力を振り絞り、刃を薙ぎ払う。

「因果応報!」

復讐は終わった。

お雪が、雪化粧をほどこした鹿鳴館の庭をさまよっている。
そこに現われたのは、伴蔵の娘・小笛だった。

短刀を構え、体ごとお雪にぶつかっていく小笛。
深々と腹を刺されたお雪は、小笛に力なく笑いかけた後、崩れ落ちる。
それを見て逃げ出す小笛。

庭に積もった白雪が、お雪の血に赤く染まる。
お雪の野獣のような咆哮が冬の空にむなしく消えていった。

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参考リンク ;

修羅雪姫 - Wikipedia

修羅雪姫(1973) - 映画ならKINENOTE

修羅雪姫(1973) ☆☆ : 西澤 晋 の 映画日記

修羅雪姫 - 我想一個人映画美的女人blog

「修羅雪姫」1973年 監督・藤田敏八 : トリ猫家族

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Lady Snowblood (Wikipediaより転載)

監督 藤田敏八
脚本 長田紀生
製作 奥田喜久丸
音楽 平尾昌晃
撮影 田村正毅
編集 井上治

出演者
鹿島雪:梶芽衣子
足尾龍嶺:黒沢年雄
鹿島剛:大門正明
鹿島小夜:赤座美代子
鹿島司郎:内田慎一
三日月お寅:楠田薫
タジレのお菊:根岸明美
塚本儀四郎:岡田英次
正景徳市:地井武男
北浜おこの:中原早苗
竹村伴蔵:仲谷昇
竹村小笛:中田喜子
松右衛門:高木均
勝目大八:長谷川弘
代貸:松崎真
子分:阿藤海、大倉賢二
柴山源三:小松方正
道海和尚:西村晃

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