冒頭の花弁、カタツムリ、カメ、カエルの接写から、これは並々ならぬ映画だと感じさせる。
その後に映されるウサギ、これが一番可愛いはずなのに何だか毛がモサモサしていて気持ち悪い(笑)。
いきなり既成概念を破壊されてしまったようだ。

宇宙線の外観はかなり精密なんだけど、内部はどことなくチープさが漂う。
自然を愛する主人公も、応援していいのやらどうにも判断に困ってしまう。

劇中流れるジョーン・バエズの歌も、額面どおりに受けとっていいのだろうか。
私は何か狂信的なものを感じてしまい怖さが先立ってしまった。

脚本が出来上がるまでに二転三転したらしく、それでテーマが曖昧模糊としているのかも知れない。
感情移入しづらい主人公というのはどうにも見ていて落ち着かない。生身の人間は4人しか出てこないけれど、愛すべき人物は一人もいない。
いろいろなサイトを拝見する限り、この映画の一番人気キャラクターはロボット三兄弟(?)のようだ。
ペーパークラフトまで発売されているのには驚かされた。

暗黒宇宙の中を、植物園ドームを搭載した宇宙船が航行していく絵はなんともシュールだが、独特の詩情がある。
もし、実際に宇宙船の中に農園を作って自家栽培しながら宇宙を航行できるのであればまことに結構なことだと思うのだけれど、それが叶っている映画内世界はなぜか気持ちが悪い。フシギだ。

それでも、植物園ドームが単体で暗黒宇宙にぽっかりと浮かんでいるラストカットはこの上なく美しい。
制作者はこれを見せたいがために本作を作ったのではないかとさえ思う。

あらすじ(ネタバレあり)

宇宙船バレーフォージは、地球上では絶滅した植物保存の使命を託され、宇宙を航行し続けてもう8年になる。
乗組員は4人。ローウェル(ブルース・ダーン)は、自然の保守・保存にまったく興味が無い他の3人を苦々しく思っている。

そんなとき、地球から指令が下る。
「計画は中止、植物をすべて切り離し、核爆破せよ」と。

ローウェル以外の3人は、地球に帰れると大喜び。
だがローウェルはこれをよしとせず、3人を殺害。
自身も足に大ケガを負う。

ローウェルは作業ロボット「ドローン」1,2,3号の回路を医療操作プログラムに差し替え、彼等に足の手術をさせる。これは成功した。
その後ローウェルは、自分の指示にのみ従うようドローンたちのプログラムを書き換える。

もはや地球には戻らず、森と共に生きていこうと決めたローウェルは、宇宙船が制御不能になったと地球に虚偽の報告をし、自ら土星の外輪に突入する。
だが、この事故によりドローン3号が失われてしまう。
ローウェルはドローン1,2号にそれぞれデューイ、ヒューイと名付け、彼等と友人のように接する。

ドームの中の植物たちはどんどん枯れていった。
原因が太陽光の不足であることに思い至ったローウェルは人工光を各所に設置し、回復を試みる。

そのとき地球から無線が入った。
ローウェルの宇宙船を発見、もうすぐ救助隊が到着するという。

それを聞いたローウェルは植物の世話をデューイに託し、植物ドームを宇宙船から切り離す。
そして彼はヒューイを道連れに自殺した。

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参考リンク ;

サイレント・ランニング - Wikipedia

サイレント・ランニング(1972) ☆☆☆ : 西澤 晋 の 映画日記

「サイレント・ランニング」のデューイ : きょうのわたくし

『サイレント・ランニング』のヒューイ・デューイ・ルーイ:一晩眠ればケロリ:So-netブログ

サイレント・ランニング: 四本木心中 ?
_________________________

Silent Running (Wikipediaより一部転載)

監督
ダグラス・トランブル

脚本
デリック・ウォシュバーン
マイケル・チミノ
スティーブン・ボッコ

製作
マイケル・グラスコフ

音楽
ピーター・シャイケル
ジョーン・バエズ (リジョイス・イン・ザ・サン)

撮影
チャールズ・F・ウェラー

編集
アーロン・ステル

キャスト
フリーマン・ローウェル (ブルース・ダーン)
アンディ・ウルフ (ジェシー・ビント)
ジョン・キーナン (クリフ・ポッツ)
マーティ・バーカー (ロン・リフキン)
ドローン1・デューイ (マーク・パーソンズ)
ドローン2・ヒューイ (シェリル・スパークス)
ドローン3・ルーイ (スティーブ・ブラウン)
ドローン・ジョーイ (ラリー・ウィセンハント)
アンダーソン (声:ロイ・エンゲル)
バークシャー船長 (声:ジョセフ・キャンパネラ)

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