2時間弱の映画だが、体感時間は30分くらいだった。
え、もう終わり?という感じ。

脚本がいい。この本を読んで出演を断わる役者さんはいないんじゃないだろうか。
演じ甲斐あるし、ヒットは約束されたようなものだし。
唯一惜しいのがタイトル。なぜここだけ投げやり?

全編が見どころの本作、特に上手いと思ったのはデーヴが交通違反でパトカーに捕まるシーン。
この時デーヴは大統領の影武者という重大な任務をノリノリでこなしている最中。
なのでデーヴの車をとめたのが運の尽き。飛んで火に入る夏の虫。
デーヴの顔を見るやいなや態度豹変し、
「こ、これは大統領閣下、し、失礼したでありますっ」
……みたいな展開になるんだろうと思っていた。

権力でもって相手をひれ伏せさせるという、あえて言うならダークな快感。
誰もが持っているであろう権力欲をくすぐりにかかるんだろうと。
「この紋所が眼に入らぬか!」
「ははあ〜」
視聴者ニヤニヤ、のパターンですな。
ところがデーヴはまったく違うやり方で事に当たる。
これには観ているこっちが「ははあ〜」させられた。

物語のたたみ方も抜群にうまかった。
ニセ大統領をいつまで続けるのか。このまま任期満了まで勤め上げるのか?
ぜひそうして欲しい……誰もがそう思ったであろう。
だがデーヴは自ら幕を引く。
正式に国民に選出されていないのだから当然なのだが、やはり寂しい。
夢の日々はあっけなく終わりを告げる。

しかし彼はその後、本物の政治家を目指し始めるのだ。
夢が現実に向けて動き出したところでこの映画は終わる。

これはファンタジーなので、ご都合主義が過ぎると言われても仕方がない。
だがファンタジーだからこそ語れる真実というのもあると思う。

この映画には希望が息づいている。
愛が溢れている。
人を信じる心に満ちている。
だからやっぱり最高なのだ。

あとはタイトルを……(笑)。

あらすじ(ネタバレあり)

現職大統領のミッチェル(ケビン・クライン)は、情事の最中に脳梗塞で重体に陥ってしまう。
大統領首席補佐官のボブ(フランク・ランジェ)は、大統領に瓜二つのデーヴ(ケビン・クライン=二役)を替え玉にすえる。
この隙にナンス副大統領(ベン・キングズレー)を陥れ、自分が大統領の座に居座ってしまおうというハラだ。

まるで人が変わったようにサービス精神旺盛となった大統領の支持率はうなぎ登り。
積極的に執務にかかわっていくデーヴ。

大統領夫人のエレン(シガニー・ウィーバー)はホームレスの救済活動に力を入れている。デーヴもこれに協力しようとボブに話を持ちかけるが「だったらお前が6500万ドルを捻出してみろ」と一蹴される。

ところがデーヴは友人の知恵を借り予算をやりくりして本当に捻出してしまう。
ホームレス支援施設の建設は実現の運びとなった。
しかしまたしてもボブの妨害がはいる。
勝手に廃案にしてしまったのだ。

デーヴはついにボブに辞任勧告。
お返しにボブは、大統領の銀行との癒着を告発。
しかもこの不正は本物の大統領が本当にやっていたのだ。

デーヴは議会でこれを全て認める。
もちろんこれだけでは終わらない。
不正の真の黒幕はボブであり、ナンス副大統領は濡れ衣を着せられただけで清廉潔白であることを証明する証拠を添えるのを忘れなかった。
デーヴはその場で突然倒れてしまう。
すぐに救急車で運ばれるが、診断によると職務復帰は絶望的との報道が流された。

実はこれらはすべてデーヴが仕組んだ芝居だった。
大統領の職を、正義の人ナンス副大統領に託して自分は身を引いたのだ。デーヴは普通の人に戻った。

数年後、デーヴは正式に出馬した。
選挙事務所はボランティアの人々でてんやわんや。
みんなデーヴの人柄に惚れて集まった人たちだ。
その輪の中には大統領未亡人となったエレンや元大統領SPの姿もあった。

br_banner_kokuban

参考サイト ;
デーヴ(1993) ☆☆☆☆ : 西澤 晋 の 映画日記
______

Dave

監督
アイバン・ライトマン

脚本
ゲイリー・ロス

製作
アイバン・ライトマン
ローレン・シュラー・ドナー

製作総指揮
ジョー・メジャック
マイケル・C・グロス

音楽
ジェームズ・ニュートン・ハワード

撮影
アダム・グリーンバーグ

編集
シェルドン・カーン

出演者
ケビン・クライン (デーヴ・コービック/ビル・ミッチェル大統領)
シガニー・ウィーバー (エレン・ミッチェル)
フランク・ランジェ(ボブ・アレグザンダー大統領特別補佐官)
ケビン・ダン (アラン・リード大統領補佐官)
ベン・キングズレー (ゲイリー・ナンス副大統領)
ローラ・リニー (ランディ)
オリバー・ストーン (本人)
ラリー・キング (本人)
アーノルド・シュワルツェネッガー (本人)

デーヴ [Blu-ray]
by カエレバ