(ネタバレあります!)

観終わったとき、温かな感動がこみあげてきました。
瀬戸内海の小島に、母親(優香)と共に移り住んできた少女もも(美山加恋)と、
島の人たちとの交流、そして妖怪三人組とのフシギな関係が
優しい自然と、ゆるやかに流れる時間に包まれて語られていきます。

まず、なんといっても主役の母娘のキャラクターデザインが素晴らしいです。
上映中、ずっと見とれてしまいました。

背景もまた抜群にいいです。
昭和にタイムスリップしたような町並み(ていうか昭和の時代の話?)は、
日本人なら誰もが郷愁を覚えるのではないでしょうか。

そして作品全体を包み込む自然のしらべ・・・虫たちの声や波の音が
実に心地よく、普段は騒音やデジタル音ばかり聞かされている耳に
つかの間の癒やしを与えてくれました。

とまあ、映像と音に関しては言うことなしなんですが
唯一、不満だったのが脚本の弱さです。

※ ここから先は作品に対して否定的な意見を述べています。
ご了承下さる方のみお読みいただければ幸いです。







いくつかある疑問点のうち、ひとつだけあげさせていただくと、
タイトルにもなっている「ももへの手紙」がちょっと引っかかりました。

ももは、ささいなことから父親に暴言を吐いてしまい、
そのわだかまりを解決できずにいるうちに、父親が急死してしまいます。
その後、父親の書斎で「ももへ」とだけ書かれた便せんを見つけるもも。
父親はももに何を伝えたかったのか。ももは知りたくてたまりません。

これが作品のテーマとなっている・・・と思っていました。見終えるまでは。
結局そうでもなかったのですけれど、とにかくストーリーを引っ張っていくヒキにはなっています。

結局、妖怪たちの力で、空にいる父親からももへ手紙は届けられることになります。
ところがその内容が、死者としての立場から書かれたものになっているのです。
この部分がどうにもつじつまが合いません。

父親が「ももへ」と書きかけた時点では、彼には死の予感のかけらさえもなかったはずだからです。
生前の父親が伝えておきたかったことはいったい何だったのか、結局分からずじまいで映画は終わっています。

ただ、可能性としては「書きたいことはあったのだけれど、
死んでしまった今となってはそれはあまり重要ではなくなったので、
他のことを書いてみた」ということかも知れません。

自分でケチをつけておいて、自分でフォローして
私はいったい何をやっているのでしょうか(汗)

手紙に関してもうひとつ、ももの目的が「父親が何を書きたかったのか知りたい」から、
いつの間にか「父親に手紙を出したい」に、変わっているところも気になります。

手紙は、エピソードの一つとして挿入するぶんには悪くないですが、
前半から引っ張ってきたわりには(そして、タイトルにまでしたわりには)
結局それほどの重い意味はなかったと言わざるを得ません。

後半、重箱の隅をつつくようなことを書いてしまいましたが、
冒頭で申し上げましたとおり、とても爽やかな感動をもたらしてくれる
素晴らしい作品であることは間違いありません。

ぜひ劇場でご覧になることを心よりオススメいたします。

2012年4月21日(土) 全国ロードショー 映画『ももへの手紙』公式サイト

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