ネタバレあります!



オビの宣伝文句を一部抜粋します。
「時空を超えて交わされる、温かな手紙交換。」
内容はまさにこの通りでした。
これ以下でも以上でもありません。
そういうお話が好きな人はどうぞ。そうでない方にはオススメできません。

結論からいいますと、五つ星満点で、星ひとつです。
クオリティは高いですし、もしこれが新人作家の作品だったら絶賛していたと思いますが、
私が東野圭吾に望んでいるのはファンタジーではないので辛い評価となりました。

むしろ、ファンタジー小説と対極に位置している人だと思っています。
いやもちろん、どんな小説を書こうが自由なんですけれど、
「時空を超える郵便ポスト」なんて、おそらくご本人が毛筋ほども信じていらっしゃらないでしょう。

逆に、そういう郵便ポストがあるという話を聞きつけようものなら、
とことん論理的思考と事実を積み上げて、その嘘を破っていく…そんなイメージさえあります。
そのような小説を数多く書いてこられた方が今さらメルヘンチックな物語を書かれても、
こちらとしても困ってしまう、というのが正直なところです。

もちろん、現実にあり得ないことは書くべきではないと申しているわけではございません。
古典SF「タイムマシン」も「透明人間」も、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も、
すべて荒唐無稽な話なんですけれど、そこには何か読む者、観る者を納得させる迫力や熱気が存在していました。

しかし本作にはそういうものがほとんど感じられないのです。
ウソをホントのように思わせるパワー、現実をねじ伏せる創造力の爆発、
そういったものが致命的に乏しいように感じました。

東野作品ですから、とても読みやすいのは言うまでもないのですけれど、
よかったところはそれくらいで、「これを伝えたい」
「この物語をどうしても書きたかった」みたいな熱さは伝わってきませんでした。

次作に期待したいと思います。

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ナミヤ雑貨店の奇蹟
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東野 圭吾
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<東野圭吾作品 - 極私的星取り表>
★★★★★ 「容疑者Xの献身」
★★★★★ 「真夏の方程式
★★★★★ 「白夜行
★★★★★ 「卒業
★★★★★ 「眠りの森
★★★★☆ 「マスカレード・イブ
★★★★☆ 「人魚の眠る家
★★★★☆ 「どちらかが彼女を殺した
★★★★☆ 「新参者
★★★☆☆ 「マスカレード・ホテル
★★★☆☆ 「片想い
★★★☆☆ 「赤い指
★★★☆☆ 「嘘をもうひとつだけ
★★★☆☆ 「私が彼を殺した
★★★☆☆ 「悪意
★★☆☆☆ 「ラプラスの魔女
★★☆☆☆ 「虚ろな十字架
★★☆☆☆ 「麒麟の翼
★★☆☆☆ 「宿命
★★☆☆☆ 「名探偵の掟
★★☆☆☆ 「カッコウの卵は誰のもの
★☆☆☆☆ 「夜明けの街で
★☆☆☆☆ 「パラドックス13
★☆☆☆☆ 「ナミヤ雑貨店の奇蹟
★☆☆☆☆ 「危険なビーナス

番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。