タイトルが面白いです。
ドイツ軍がナバロンの要塞を死守する戦争映画かと思ったら、
そうではなくて、6人からなるイギリス軍御用達の
即席チームがはるばる破壊しに行く話でした。
日本のアニメに例えて言うなら「デスラー総統」とか
「ばいきんまん」みたいなことですね(なんか違うな ^^;)

まず、世界的な登山家でもあるマロリー大尉
(グレゴリー・ペック)に話が持ち込まれます。
ナバロン島南側は、高さ120メートルの垂直な岸壁に護られていて、
ここだけ警備が手薄なので、マロリーの力を借りて潜入を計ろうというわけです。

もし、マロリーが断ると(要塞を無力化できないと)
約一週間後にドイツ軍が大挙押し寄せ、イギリス軍兵士2000人が見殺しになり、
中立国トルコもドイツ側に付くであろうという、最悪の事態を招くことになります。

しぶしぶ承諾したマロリーは、ギリシア軍のスタブロ大佐
(アンソニー・クイン)を加えてくれと条件を出します。
よほどこの男の腕を買っているのでしょう。
しかし、二人には因縁がありました。

以前、マロリー大尉の甘い判断がたたって、敵軍が
スタブロの妻子を射殺したという過去があったのです。
マロリーに「戦争が終わったら、お前を殺す」と宣言しているスタブロ。
逆に言えば、戦争が続いている間は、
職務に私心をはさまず忠実に遂行する男だと、
マロリーは見ているわけですね。

この設定があるために、ドラマが俄然面白くなっています。
マロリーに何かしらの危機が迫るたびに、観客は
「スタブロはどう出る?」と気になってしょうがないわけですから。
ちょっとはしょりますが、他の4人もそれぞれ個性豊かでキャラが立っています。

漁師に変装して海に出た一行6人のミッションは
序盤からさまざまな困難に遭うも、ようやくナバロン島に到着。
しかし、ここで隊長のフランクリン少佐が大けがをしてしまい
この後は、ずっと担架で運ばれることになります。
その後、現地のレジスタンスである女性2人が応援参加。
ところが何故か一行の行く先にドイツ軍が待ち構えていて、
ついに全員捕らえられてしまいました。

スタブロのとっさの機転により九死に一生を得ましたが、
マロリーは、フランクリンをドイツ軍に託して残していくことにします。
非常に危険な賭けですね。
ドイツ軍にだって良心を持っている奴はいる、と信じたマロリー。
スタブロの時と同じ結果を招くかも知れないのに。
ここがマロリーの弱さであり、魅力でもあるのでしょう。

危険な賭けというのには、もうひとつ理由があります。
ドイツ軍は自白剤を使い、フランクリンに作戦の全貌を吐かせるでしょう。
そうなったらすべてが水の泡です。
しかしマロリーはそれを逆手にとってある仕掛けを施しておきました。
これが文字通り「けがの功名」となり、
ナバロンの要塞付近の警備はますます手薄になったのです。
かくして、作戦通りに大砲二門に爆弾を仕掛けることができました。

そのころイギリスの駆逐艦六隻が、作戦成功を見越して、
兵士2000人を収容するために、ナバロンの要塞に近づいてきました。

ドイツ軍は急いで大砲を検査、爆弾を除去し、駆逐艦に狙いを定めます。
そして火を噴く大砲・・・・・・爆発は起こりません。
まだ射程距離いっぱいなので、駆逐艦からかなり離れたところに着弾。
またまた火を噴く大砲・・・・・・やっぱり爆発は起こりません。
今度は艦のすぐそばに着弾。精度が上がってきました。
作戦は失敗に終わったのでしょうか。
駆逐艦六隻は、このまま撃沈されてしまうのか!?

3時間近い上映時間の最後の最後までハラハラさせられてしまいました。
上で書ききれなかったことが、山ほどあります。
スパイも出てきますし、ギリシアの結婚式、大荒れの海、
それぞれに、とても深い人間ドラマがありました。

マロリーとスタブロの関係についてだけ、ちょっと書いてみます。
スタブロは結局、現地のレジスタンス、マリアと恋に落ち、
この島に残ることにしました。
妻子を殺された恨みをマロリーに向けていた男が、です。
ここに、なにか人間の業を見るような思いがします。
今は亡き愛する人を想い続ける気持ちがなくなったということでもないのでしょうが、
新しい恋の相手(ここでは生きる希望と言い換えてもいいかも知れません)
が現れると、マロリーへの憎しみなどどこへやら、
別れ際には、なんとスタブロの方からマロリーに握手を求めるのです。

こんなスタブロを非難する人はいないでしょう。
人間とはなんと愚かで、愛しく、弱くて、そして強い生き物なのか。
この映画を観て、しみじみとそう感じてしまいました。

劇中では、登場人物の誰も「不可能を可能にするのだ」とか
「同士のために絶対成功させてやる」とか、暑苦しいことを言いません。
「まあ、無理だろうけど、やってみるか」くらいのテンションなのです。
でもやるべきことは100%全力を尽くす。
いちいち主義主張とかを、声高に叫ばないところがとても気に入りました。

途中、黒澤明の影響を受けたのでは?と
思うようなカットが散見されましたね。
大げさに驚くところとか、いっせいに笑うところとか。違うかな?

続編にあたる「ナバロンの嵐」は未見です。
ネットでの評判はいまいちかんばしくないようで。^^;
<午前十時の映画祭 786>あたりで上映してくれるのを待つことにします(笑)

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