日本代表の歴代監督評が非常にシビアです。
トルシエとジーコに関しては、あまりにも辛口なので
引用するのを自粛させていただきました(汗)

結果論になってしまいますが、2010南アW杯において
日本代表がグループリーグを突破できた理由のひとつに、
開幕直前、監督更迭論まで飛び出すほどの
大バッシングが起きたことで、関係者に生じた危機感が
いいほうに作用したという面もあるようです。

それから「クラブユースの至れり尽くせりな環境は
逆に、選手のハングリーさや人間力の成長にとって
マイナスなのではないか」という指摘には
うなずかされるものがありました。

現在の日本代表を見ても、十代の頃は無名で
その後、苦労に苦労を重ねた末に
花開いた選手が多いような気がします。

これはサッカー界のみならず、どんな世界にも
通用する真理なのかも知れません。

(以下、引用)

コートジボワール戦(2010年6月4日)は、
良いシミュレーションになったが、
もう一つ、ハッキリ見えたものがあった。
強豪相手に戦える選手、戦えない選手が明確になったのだ。
日本は「優勝する」と言われているチームじゃないんだから、
負けてもともとという気持ちで恐がらずにやればいいのに、オドオドしてしまう。
「ボールを取られたらどうしよう」と恐がってプレーしてしまう。
相手が強いからといって、ビビってプレーしていては
いつまで経っても世界では勝てない。
負けてもやられても、逆にいい経験だったぐらいに思って戦えばいいのだが、
そういう気持ちが数人の選手には見えなかった。

あのミーティング(2010年5月29日スイス・ザースフェー)で
「チームがひとつになった」と報道されていたけれど、
そこまで大げさなものではなかったと思う。
あの段階では、まだ方向性は決まっていなかったし、
意見もまとまってはいなかった。
ただ、みんなが何を考えているのかが明確になって、
ワールドカップに向けて戦い方をハッキリさせるキッカケになったということだ。

試合前(2010W杯カメルーン戦)に、みんなで一本のビデオを見た。
それまで多くの試合を戦ってきた中で身体を張って守ったシーン、
逆に身体を投げ出してゴールを決めたシーン、
それらを集めて編集したイメージビデオだ。
バルセロナのグアルディオラ監督なんかもモチベーションを上げるために
よく使う方法らしいけれど、これが、すごく良かった。
「あとは結果を出すだけだ」と、みんなの気持ちがすごく盛り上がった。

スタジアムに時計がなかったので、
残り時間はまったくわからなかった。(カメルーン戦)
ワールドカップのスタジアムでこんなことがあるのかと思ったけれど、
アフリカなら何でもあるというのもワールドユースで学んでいた。
ベンチからの声もブブゼラの音で、まったく聞こえなかった。
「集中、集中」
と(中澤)佑二や闘莉王が天までも届くような声で叫んでいた。

決まった瞬間は、本当に嬉しかった。(デンマーク戦FK)
俺は、そのままベンチに向かって走って行った。
ワールドカップはピッチに立つ選手だけじゃなく、
ベンチの選手やスタッフのみんなと一緒に戦っている。
サポートしてくれるみんなに感謝の気持ちを込めて、
一緒に喜びたかったのだ。
ベンチに行くと今ちゃんがニヤニヤしていた。
この朝、俺が点を取る夢を見たみたいで、
「ほら、言っていたでしょ」みたいな顔をしていた。

ワールドカップという最高峰の大会では、
ひとつひとつのプレーが重要になるだけに、
そこに気持ちが入っていないとチームはあっけないほど簡単に負けてしまう。
今回、日本は身体を張って、泥臭いプレーで90分を戦った。
そうして結果を出し、個の力が弱くても
チームとして戦えば個の強いチームに勝てることを証明した。
一体感は、烏がライオンを倒す力にさえもなりえるのだ。

こうした徹底した体調管理と高地対策で、
俺のコンディションは大会を通してほぼベストの状態を維持することができた。
(中略)チームとしてもすごく成果が上がって、
日本はグループリーグ三試合の総走行距離が
出場32チーム中2位(331.45km)になった。
それほど走れて、大会中良いコンディションで試合ができたのは、
間違いなく杉田さん(正明 / 三重大学准教授)のおかげだ。(中略)
杉田さんを含めたスタッフの尽力には、本当に感謝の言葉しかない。

パラグアイ戦に敗れた後、涙が止まらなかった。
ピッチで泣いたのは、初めてだった。(中略)
泣きながら一人で歩いていると、岡田監督が来て
「よくやった」と声をかけてくれた。
監督が目指すベスト4には及ばなかった。
選手としては、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ピッチで日本のサポーターに挨拶し、
ロッカーに戻るときに感じたのは、
猛烈な虚脱感と寂しさだった。
このチームは本当に良いチームだった。
みんな自己犠牲をいとわず、チームのために戦う。
個性には欠けるかも知れないけれど、
まとまりや団結力では過去最高のチームだった。
そういう選手とスタッフと
「もう一緒に戦えないんだな」と思うと、
本当に、本当に寂しかった。

普通、意味があってもなくてもピッチをガンガン走っていると、
「走っているなぁ」と感心される。
それが、そのまま評価されたりする。
でも、オシムさんは、単純に運動量を増やして、
一生懸命に走ればいいと言っているのではなかった。
いかに危険なエリアに走って入っていけるか。
いかに効果的に相手のイヤなところに走っていけるか。
いかに味方の次のプレーをラクにさせるために走れるか。
そういう「走り」をすごく評価していた。
それは、まさに目から鱗だった。
今まで、そんなことを教えてくれた監督はいなかったからだ。

南アフリカ大会では、イタリア的なサッカーで戦って、二勝を挙げた。
でも、守備的だし、点が取れないので「面白くない」と言われた。
「それは、違うだろう」と、言いたい。
俺は、いくら面白くて、良いサッカーをしても負けたらダメだと思う。

ピッチに立って見ると、Jリーグはいろんな意味でやっぱり緩い。
プレスの速さ、球際の厳しさは足りないし、
パスなどプレー一つ一つの精度の違いも感じる。
やっぱりミスが多い。Jリーグではなんとなく向かって行っても、
相手がミスしてくれることが多いから簡単にボールを奪えてしまう。
ワールドカップに出て来る強豪国は、「なんとなく」では通用しない。
全部、全力で行かないと、とてもじゃないがボールは奪えない。
この意識の差を詰めていかないと、日本のレベルは上がらないし、
世界で勝てるようにはならない。

ガンバ(大阪)の若手に、HというFWがいるけど、
毎試合、結構、シュートを外す。一本の重みを理解していない。
チャンスは無限にあるものだと思っている。
シュート一本を大切にできない選手は、世界ではゴールを奪えない。
世界では一試合で得られるチャンスは、ほんのわずかしかないからだ。

30歳を越えたけれど、チャンスがあれば世界に出て、サッカーをやりたい。
うまくなりたいと思う気持ちに年齢は関係ないし、
まだまだうまくなれると思っているからだ。

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