文句なしの五つ星です!
個人的には今まで読んだ東野作品の中で最高傑作。
発売されて間もないのでネタバレなしの方向で。。。

あらすじ。。。
小学5年生の恭平は、夏休みを利用して
伯父のところへ遊びに来ます。

伯父夫婦は緑岩荘(ろくがんそう)という
古い旅館を経営していますが、近頃では
海水浴客もめっきり減って閑古鳥が鳴いています。

最近、この地方の沖でレアメタルが
採れる可能性があることが分かり、町は騒然。
旅館の娘で、恭平の従姉弟にあたる成美は
開発反対派として熱心に活動しています。

ガリレオこと物理学者の湯川学は、
調査実験の指導役としてこの町に招かれました。
彼は、推進派団体が用意したホテルをキャンセル、
恭平と同じ緑岩荘に泊まることにします。

宿にはもう一人、塚原という男性が宿泊していました。
海底開発の説明会があった翌朝、塚原は
防波堤の下で、遺体となって発見されます。

事故死かと思われましたが、
解剖の結果、死因は一酸化炭素中毒と判明。

その上、塚原は警視庁のお偉方の先輩刑事だったので
警視庁のほうからも特命刑事が二名、
捜査に加わることになりました。

その二名とは草薙と内海。
折あらば、以前に難事件を解決した
ガリレオの頭脳を借りる腹づもりで、
彼と面識のある二人が選ばれたのでした。


なにしろ読みやすいです。
一度もページを戻らなくて済むというのは、
ミステリにおいては驚異的でしょう。

本作の舞台は、美しい海を臨む
いつの間にか人々に忘れ去られた観光地。

湯川と真夏の海という、
実に似合わない取り合わせが(笑)
結構しっくり来ます。

その湯川が恭平少年に、一生懸命
勉強の楽しさを教えようとするところも見所です。
ちょっとだけ引用してみます。

湯川は算数のドリルを手にし、ぱらぱらとめくった。
「まだ殆ど手つかずだな。間に合うのか」
「たぶん無理。学校が始まる直前に、お母さんに叱られながらやるしかない。叱りながらも、お母さんは手伝ってくれるから」
毎年、その手で乗り切ってきたのだ。
「そういうのは手伝ったとはいわない。君のお母さんは邪魔をしている。息子の学力向上の邪魔をね」
「そんなこといったって、宿題をやっていかなかったら、今度は学校で叱られちゃうよ」
「叱られればいい。そのほうが君のためだ」
「何だよ、他人事だと思って」恭平は湯川の手からドリルを奪い返そうとした。だが寸前で、さっと遠ざけられた。
「私が手助けしよう。そうすればこんな問題集は二、三日で片付くだろう」

ヘンクツな少年と、彼に輪をかけてヘンクツな湯川との
ひと夏の交流は、おかしさと感動が相まって
読むものの胸を震わせずにはおきません。

そして今回活躍するのが、草薙&内海コンビ。
草薙もなかなかのものですが、後輩の女性刑事
内海薫が、打てば響くとはまさにこのこと、
と言わんばかりの行動力を見せてくれます。

シリーズを重ねるにつれ、彼女の存在感は
どんどん増していくことでしょう。

この作品が映画化、ドラマ化されるのは、
まず間違いないと思います。
きっといい作品になるでしょうね。
何と言っても原作が最高ですから。

こんなに素晴らしい作品を出したばかりというのに、
9月にはニューシリーズが発表されるというのですから
ファンとしてはうれしいやら、あまりのハードワークに
お体が心配になるやらで、ちょっと複雑な心境ですね。

東野先生には、どうか無理をなさらずに
末永くご活躍していただきたいと切に願っております。

真夏の方程式
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★★★★★ 「容疑者Xの献身」
★★★★★ 「白夜行
★★★★★ 「卒業
★★★★★ 「眠りの森
★★★★★ 「真夏の方程式
★★★★☆ 「マスカレード・イブ
★★★★☆ 「人魚の眠る家
★★★★☆ 「どちらかが彼女を殺した
★★★★☆ 「新参者
★★★☆☆ 「片想い
★★★☆☆ 「赤い指
★★★☆☆ 「嘘をもうひとつだけ
★★★☆☆ 「私が彼を殺した
★★★☆☆ 「悪意
★★☆☆☆ 「ラプラスの魔女
★★☆☆☆ 「虚ろな十字架
★★☆☆☆ 「麒麟の翼
★★☆☆☆ 「宿命
★★☆☆☆ 「名探偵の掟
★★☆☆☆ 「カッコウの卵は誰のもの
★☆☆☆☆ 「パラドックス13

番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。




あとがき。。。

東野ファンなら思わずニヤリとさせられるというか、
ウッと胸が詰まる箇所がありました。
野暮を承知で引用させてください……。

草薙は顔をしかめた。(中略)
愛する者のためなら罪を被ることも躊躇わないーーーそういう「献身」が存在することを湯川は誰よりも知っている。