今回の原発事故のどの程度の部分までが
人災と呼べるものなのかは、
後々明らかになっていくことでしょう。

とにかく今は消化と、被災者の方々に
十分な物資が行き渡り、
安全が確保されることを願うのみです。

スリーマイル島原発では「思い込みによるミス」
があったことを本書で知りました。
原子力発電所などの重要施設において、
絶対にあってはならないことなのは
言うまでもありません。

そのようなミスはどうして起こるのか、
防ぎようはあるのか。

100%ノーミスは無理かも知れませんが、
少なくともまだまだ改善の余地はある……。

本書を読んでそう感じましたし、
改善しなければならないと、
日本がこのような事態に
おちいっているだけに、強く思います。

(以下、引用)
スリーマイル島原子力発電所の事故でも、
意味の逆転が出現し、
事故の誘発原因の一つになりました。
原発には多数の弁があります。
制御室の表示板では、これらの弁の開閉状況を、
赤と緑のランプで表示していました。
弁が開いているなら赤ランプ、
閉じているなら緑ランプです。
開きっぱなしの弁は危ないから
赤で表すという発想です。
しかし皮肉にもあの事故の際は、
ある弁が閉まっていることが問題であり、
緑ランプの弁が実は危険であったという
反訓が生じたのです。

「損をしても手数料がかかる」ことは、
金融機関としては常識ですが、
顧客にとっては非常識で間違いなのです。
こうした顧客との認識のギャップも、
広い意味では事務ミスの一種と言えます。

異常検知のために最も理想的な名前の付け方は、
名が体を表すこと、すなわち“名詮自性
(みょうせんじしょう)"であることです。
(中略)政府が75歳以上の高齢者を
「後期高齢者」と呼んで大不評を買いました。
名詮自性の命名なのかもしれませんが、露骨です。
命名はしばしばデリケートな問題なので、
露骨を避ける気配りが大事なのです。
例えば、「上中下」のことを「松竹梅」と
言い換えるような工夫をしなければいけません。

「作業員の技能を高めればミスは減るのだ」
という、技能重視の考えが幅をきかせています。
しかし実際には、作業確実実行力は、
事故防止に対してあまり効果がありません。

大きな仕事の終末部でも、
ど忘れに注意しなくてはいけません。(中略)
銀行ATMで現金を引き出す時のことを
考えてみましょう。
引き出し作業の終わりに、ATMは、
現金とカードと通注を客に渡すことになります。
これらの物を出す順番が問題です。
現金は最後の順で出すべきなのです。

我々の文明は印刷された書式の魔力に
とらわれている。(ドラッカー)

死者が百人を超えるような大事故は、
長きにわたって報道されつづけます。
しかし、死者の数が問題というなら、
交通事故の方がはるかに大きな脅威のはずです。
脅威がどんなに大きくても、珍しくなければ、
人間は関心を失ってしまうのです。

ミスの対策を考える人は、
必ず現場に足を運ばなければいけません。
現場に行き、現場を見て、
現場を知ることが肝腎なのです。

現場を見るには、抜き打ちで
気まぐれなコースを歩み、閉ざされた扉を
自発的に開ける探求心がなければいけません。
サントリーの創業者、鳥井信治郎は、
工場にやってくると自分でドブ板をはがし、
「掃除がなっとらん!」と注意したといいます。

要改善のポイントの把握のためには、
第三者にどんどん見せることが一番です。

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「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)
中田亨
光文社 (2011-01-18)
売り上げランキング: 868

参考エントリ :
「ビジネスブックマラソン」バックナンバーズ
【ミス対策】『「事務ミス」をナメるな!』中田 亨:マインドマップ的読書感想文

◎ 目 次 (amazonより転載)
I 理論篇 なぜ人はミスをし続けるのか?
第1章 人は「有能」だからこそ間違える
第2章 間違えのメカニズム追究はきりがない
第3章 そもそも「間違い」とは何か?
第4章 時代が事務ミスを許さない!
II 実践篇 ミスはこう防ぐ
第5章 ミスの解決は、「6つの面」から考える
第6章 「気付かない」から事故になる
......ミスを防ぐ力その1「異常検知力」をつける
第7章 異変のはじまりはどこか?
......ミスを防ぐ力その2「異常源逆探知力」で復旧を容易にする
第8章 「ミスをしないこと」は目標になりえるか
......ミスを防ぐ力その3「作業確実実行力」とのつき合い方
第9章 御社の「手順」はムダだらけ
......ミスを防ぐ作業手順を組み立てる
第10章 氾濫する「ダメ書式レイアウト」
......書式を改良して事務ミスを防ぐ
第11章 「ミスに強い」組織に変える

◎ 著者プロフィール
中田 亨(なかたとおる)
1971年、神奈川県生まれ。東京大学大学院修了。
現在、独立行政法人産業技術総合研究所研究員。博士(工学)。
様々な業種の企業とヒューマンエラー防止の共同研究を進める。
著書には、『防げ 現場のヒューマンエラー』(日科技連出版社)、
『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』(化学同人)、
『理系のための「即効!」卒業論文術』(講談社ブルーバックス)
などがある。