・加賀シリーズ最高傑作
・誰も信じなくても、自分だけは信じよう。
・ここから夢に羽ばたいていく、はずだった。

「帯には、『加賀シリーズ最高傑作』と
謳っていることだろうと思います。
その看板に偽りなし、と作者からも
ひと言添えておきます。」東野圭吾 (帯より引用)

発売されたばかりなので、
ネタバレなしを心がけて書きます。

事件のたびに、"正義の人"レベルが
上がっていく加賀恭一郎刑事。

以前は、刑事コロンボのように
ジワジワ、ネチネチと犯人をいたぶりながら
追い詰めていく嫌らしさがあったと思うんですが、
本作はモクモク、コツコツと
品行方正に仕事に励んでおります。

東野圭吾の何がすごいって
現代の世相がすぐさま作品に
反映されるところでしょう。

本作でも「派遣」「ネット社会」が
大きなテーマとなっています。

密室、アリバイ、トリック……など
ミステリに必須と思われていたものに
拘泥することなく、人間そのものに
照準を合わせた、心揺さぶるドラマが
私たちを魅了してやみません。
(本作もミステリと思わないほうがよいかと)

私の評価は星2つです。(星5つが満点)
とは言いましても個人的に合わなかっただけで、
本作はものすごく深いテーマが内包されている、
非常に読み応えのある重厚な作品だと思います。

ただ、加賀の台詞が(かっこいいんですけれど)
あまりにも正義漢すぎて息苦しくなっちゃう
ところがあったので……。

今の日本って、小さなウソさえ
赦すことをしなくなっていると思うんですね。
四六時中スケープゴートを
物色している感さえあります。

でも、ウソやごまかしをしてしまうのも
またそれも人間であると言えるし、
そこを全否定してしまうと
相当生きづらいかんじはします。

サッカーでもファウル、イエローまでなら
まだ試合に参加させてもらえるじゃないですか。
そのくらいのハンドルの遊びは
あってもいいと思うのですけれど。

人間の弱さや、情けなさ、惨めさというものに
こんなにも理解を示さない人だったっけ?
加賀恭一郎って……というのが正直な感想です。

でも加賀の超絶推理は健在でしたよ。
ある証拠品を見て「これは人形町の○○という店
にあった商品に違いない!」と見極めたのはさすが。
(……あれ? これ、推理じゃなく記憶力?)

あなた、いったいどれだけ人形町を
ブラタモリしてるんですかと、
思わずツッコミを入れてもいいかな?と
アルタのお客さんに聞きたくなりました。
(意味不明)

とまあ多少の不満はなきにしもあらずですが
今後ももちろんフォロワーで居続けるつもりです。
東野作品は映画化される確率が高いので、
そうなったとき2倍も3倍も楽しめるんですよね。

中に挟んであったチラシによると
2011年4月15日「流星の絆」(文庫化)
2011年6月6日「真夏の方程式」(ガリレオ・シリーズ)
2011年9月9日「マスカレード・ホテル」(ニュー・ヒーロー?)

が、すでに発売決定しているそうです。
もちろんスケジュール帳に書き込みました。
なんて商売上手さんなのかしら〜。

内容もさることながら、
本書は装丁が素晴らしかったです。

昨今は経費節減のためか、
カバーを取ると無地という本が多い中、
裏表紙、中表紙、すべてが
思いのこめられた綺麗な装丁でした。

ちょっと残念なのは最後のほうのページに
「自炊代行禁止」云々の注意書きがあったこと。
物語、および本自体の美しさが、この一文で
少し削がれてしまっているような気がします。

こういうのを入れなきゃいけないという
出版社の事情も分かるのですが、読者の中には、

「あえて文庫じゃなく、高いお金を出して
単行本を買うのは、解説がついていないから。
余韻に浸ったまま(余計な文字を
目に入れることのないまま)本を閉じたいの」

という、私のようなヘンクツも少数ながら
存在しておりますので、そのへんのところも
考えていただければありがたいです。

麒麟の翼 (特別書き下ろし)
東野 圭吾
講談社 (2011-03-03)
売り上げランキング: 18

<東野圭吾作品 - 極私的星取り表>
★★★★★ 「容疑者Xの献身」
★★★★★ 「真夏の方程式
★★★★★ 「白夜行
★★★★★ 「卒業
★★★★★ 「眠りの森
★★★★☆ 「マスカレード・イブ
★★★★☆ 「人魚の眠る家
★★★★☆ 「どちらかが彼女を殺した
★★★★☆ 「新参者
★★★☆☆ 「マスカレード・ホテル
★★★☆☆ 「片想い
★★★☆☆ 「赤い指
★★★☆☆ 「嘘をもうひとつだけ
★★★☆☆ 「私が彼を殺した
★★★☆☆ 「悪意
★★☆☆☆ 「ラプラスの魔女
★★☆☆☆ 「虚ろな十字架
★★☆☆☆ 「麒麟の翼
★★☆☆☆ 「宿命
★★☆☆☆ 「名探偵の掟
★★☆☆☆ 「カッコウの卵は誰のもの
★☆☆☆☆ 「夜明けの街で
★☆☆☆☆ 「パラドックス13
★☆☆☆☆ 「ナミヤ雑貨店の奇蹟
★☆☆☆☆ 「危険なビーナス

番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。