数年前に原作を読みました。
(私の中では『容疑者Xの献身』と並ぶ大傑作!)

そのせいもあるでしょうが、事件の概要が
とても分かりやすく整理されていたと思います。
あらすじ。。。質屋のオヤジ(吉満涼太)が
廃ビルの中で刺殺されていた。
発見したのは近所の小学生たち。
疑われたのは女房(戸田恵子)と従業員
(田中哲司)。しかし決定的な証拠がない。
調べを進めていくうち、質屋のオヤジは
殺される前に、ある母子のところに
寄っていたことが判明。その母(山下容莉枝)は
程なくしてガス中毒で死亡。
事故死か自殺かはハッキリせず。
娘の雪穂(福本史織 → 堀北真希)は
遠い親戚に引き取られる。
月日は流れ、雪穂は高校生になっていた。
彼女の回りで不可解な事件が起こり始める……。

堀北真希、高良健吾もさることながら、
刑事役の船越英一郎が絶品でした。

後輩に追い抜かれ、定年になってもまだ
執拗に事件を追いかけていく、
しょぼくれていて、どこか温かみのある刑事。

彼が狂言回し役となって、
二十年近くにわたる深くて暗い河のような
犯罪の全貌が明かされていきます。

女子高生の髪型やセーラー服の
野暮ったさとか、本当に昭和50年代に
撮られたのでは?と錯覚しそうな程に
実に忠実に再現されていました。

全般において、真夜中の月光の海にどっぷりと
浸かっているようなブルーを基調とした絵作りも
統一感を助長していたように思われます。

そしてクライマックスに向かって、
徐々にアイボリーが加えられ、
画面は明るさを増していきます。

これはおそらく夜明けの表現で、
二人の白夜行の行程が終わりに
近づいていることを示唆しているのでしょう。

そしてさらなるライティングの妙!

女優さんは、いわゆるお目々をキラキラさせたり
顔が映えるようにキャッチライトを
使ったりするのですけれど
雪穂の心の虚無を表すために
ライトの当て方に工夫がなされ
瞳の輝きが消えていました。

そのライティングに耐えうる
堀北真希は流石の美しさです。

「切り絵」や「人形」などにも深い意味が
持たされており、演出の冴えには唸らせられました。

(人形の首飾りのナゾって原作にありましたっけ?
忘れちゃいました。もし映画のオリジナルだとしたら、
ますます評価は高まります)

とあるシーンでは、カメラの視点が、いつの間にか
そこにいないはずの犯人目線になっていたりして。
これには背筋がぞっとしましたね。

そして数々の痛ましい事件が起きる前、
犯人とおぼしき影がフッとよぎるところも
実に上手いです。

「まったく無関係に見える二人だけど、
裏では絶対に通じ合っているに違いない!」

そう観客に映像のみで納得させる、
その力量たるや素晴らしいものがありますね。

ここから、多少ネタバレあります!







贅沢を言わせてもらうなら、
夫が引きこもりになった過程に
もうちょっと説得力があれば、というのと

雪穂が救いようのない毒グモに
なっちゃっている点が少し残念かも。

原作を読んだとき、あの二人には
だいぶ感情移入できた覚えがあります。
まあそのへんは個人の好みですね。

本作は十二分に『白夜行』の世界観が
表されている秀作だと思います。

WOWOWさんはもしかしたら『幻夜』の
映画化も視野に入れているのかも知れませんね。

小説『幻夜』での彼女は完全に毒グモ化していますから。

『幻夜』を本作の続編と位置づけるならば、
『白夜行』で行われた一連の犯罪において、
主導権を握っていたのはどちらだったのかに
含みを持たせる必要もないでしょう。

(『幻夜』は『白夜行』の正式な続編では
ありませんが、そのように見る向きも
少なくない、という小説です)

これだけクオリティの高い作品なら、
どんどん世界に向けて公開して、東野圭吾と
日本映画の素晴らしさをアピールしてほしいですね!

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白夜行
by カエレバ