片想い (文春文庫)

まずは簡単なあらすじから。

帝都大学のアメフト部OBたちは
年に一度集まることにしている。

年々、参加者が減っていくのは
淋しいけれども致し方ないところ。

その席で決まって話題に上るのは、
最後のゲームの「たられば」。

やり玉に挙げられるのは
クォーターバックの西脇哲朗。

苦笑しながらもやり過ごし、
さあ二次会へと外に出ると、
元マネージャーの日浦美月が立っていた。

様子がおかしいので、とりあえずQBの家へ
行くことにし、事情を聞いてみると
「人を殺してきた」と言う…

性同一性障害を扱った、
かなりルポルタージュ色の濃い作品。

それにしてもハードルの高い題材を
選んだものである。

読者の多くは性同一性障害というものと、
かかわることがないだろうし、
性同一性障害者の方の心の痛みや苦しさに
共感したくても、それがどのようなものなのか
想像もつかないので、なかなか感情移入しづらい。

それを、東野圭吾は非常に分かりやすく
物語の中に折り込み、いかに現代社会において
弱い立場であるかを説明しながら話を進めていく。

おかげで、性同一性障害についての理解を
多少なりとも深めることができたと思う。

肝心のミステリ部分はどうかというと、
各章ごとに謎がひとつ、またひとつと
明かされていくかんじで、
そのたびに背筋がぞわわ〜っと来る。

個人的には佐野洋作品(懐)の
読後感に近いものがあった。

派手さはないけれど、
社会的な意義を持つ佳作だと思う。

<東野圭吾作品 - 極私的星取り表>
★★★★★ 「容疑者Xの献身」
★★★★★ 「真夏の方程式
★★★★★ 「白夜行
★★★★★ 「卒業
★★★★★ 「眠りの森
★★★★☆ 「マスカレード・イブ
★★★★☆ 「人魚の眠る家
★★★★☆ 「どちらかが彼女を殺した
★★★★☆ 「新参者
★★★☆☆ 「マスカレード・ホテル
★★★☆☆ 「片想い
★★★☆☆ 「赤い指
★★★☆☆ 「嘘をもうひとつだけ
★★★☆☆ 「私が彼を殺した
★★★☆☆ 「悪意
★★☆☆☆ 「ラプラスの魔女
★★☆☆☆ 「虚ろな十字架
★★☆☆☆ 「麒麟の翼
★★☆☆☆ 「宿命
★★☆☆☆ 「名探偵の掟
★★☆☆☆ 「カッコウの卵は誰のもの
★☆☆☆☆ 「夜明けの街で
★☆☆☆☆ 「パラドックス13
★☆☆☆☆ 「ナミヤ雑貨店の奇蹟
★☆☆☆☆ 「危険なビーナス

番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。