嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

加賀恭一郎シリーズ第六弾は短編集だった。
最初はそれと知らずに読んでいて、
第二話の途中でようやく気づいた。
東野圭吾作品は犯人が分かったからと言って、
物語が終わらない場合も往々にしてあるからだ。
と言い訳してみる。(^^;

特に第一話はバレエ界を舞台にしている。
バレエといえば「眠りの森」を
思い浮かべるファンも多いだろう。

ぼかされていた加賀の恋の行方が
ここで明かされると思いこんでしまった。

こんなところにも東野御大はミスリードを
仕掛けるのである。(んなわけないか)

本作品は表題作「嘘をもうひとつだけ」を除いた
四編が男女関係のもつれを描いている。

ミステリに欠かせないトリック破り・
アリバイ崩しが醍醐味なのはもちろんのこと、
被害者や容疑者たちの隠された素顔が
暴き出されていく過程が興味深い。

「いい人だと思っていたら悪い人だった
(あるいはその逆)」という基本形に加え、
自分を殺そうとしたのにかばう、とか、
自分はやっていないのに罪をかぶる、とか、
そういった人間模様の切なさが
しみじみとした読後感を誘う。

言うまでもないことだが、短編だとどうしても、
加賀の持ち味であるところの、じわじわと
容疑者を追い詰めていく「爽やかネチネチ感」
とでもいったらいいのかーーー
そういった風味に乏しい。

我ながら書いていて、読者は勝手な事ばかり
言って気楽だよな、とは思うのだけれど、
東野先生には重厚な「爽やかネチネチ」モノ
(なんだそれ)を書き上げてほしいと
切に願うのである。

そしてもちろん加賀恭一郎シリーズ次回作を
ポチるのである。ポチッ

内容(「BOOK」データベースより)
バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニー
から転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に
向かっている。だが、同じマンションに住む元プ
リマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってき
た。彼女には殺人動機はなく、疑わしい点はなに
もないはずだ。ところが…。人間の悲哀を描く新
しい形のミステリー。

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)
嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)おすすめ平均
stars珍しい視点ではある
starsパターン
stars短編でも面白い
stars加賀恭一郎シリーズの短編
stars哀切の嘘

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<東野圭吾作品 - 極私的星取り表>
★★★★★ 「容疑者Xの献身」
★★★★★ 「真夏の方程式
★★★★★ 「白夜行
★★★★★ 「卒業
★★★★★ 「眠りの森
★★★★☆ 「マスカレード・イブ
★★★★☆ 「人魚の眠る家
★★★★☆ 「プラチナデータ
★★★★☆ 「どちらかが彼女を殺した
★★★★☆ 「新参者
★★★☆☆ 「マスカレード・ホテル
★★★☆☆ 「片想い
★★★☆☆ 「赤い指
★★★☆☆ 「嘘をもうひとつだけ
★★★☆☆ 「私が彼を殺した
★★★☆☆ 「悪意
★★☆☆☆ 「ラプラスの魔女
★★☆☆☆ 「虚ろな十字架
★★☆☆☆ 「麒麟の翼
★★☆☆☆ 「宿命
★★☆☆☆ 「名探偵の掟
★★☆☆☆ 「カッコウの卵は誰のもの
★☆☆☆☆ 「夜明けの街で
★☆☆☆☆ 「パラドックス13
★☆☆☆☆ 「ナミヤ雑貨店の奇蹟
★☆☆☆☆ 「危険なビーナス

番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。