名探偵の掟 (講談社文庫)

すれっからしのミステリ・ファンに
捧げた(?)異色の作品。

探偵の天下一大五郎と、大河原番三警部の
迷コンビが活躍する異色連作短編集。

この二人が、ときおり役柄から抜け出し
「今どきこんなトリック、読者が許しませんよ」
などと自分ツッコミを入れながら、
数々の類型的な殺人事件を解決する。

一話ごとに今や形骸化している
ミステリのミステリたるお約束を
次々に壊していくのだけれど、
それを繰り返すうちに、
ブラックコメディっぽく始まった小説が、
何やらのっぴきならない方向に話は進んでいき、
後半は自虐どころか
自傷にまで至っている感がある。

ラストはとうとう笑うに笑えない状況に陥る…
これは作者の意図した結末だったのだろうか。

どうも、書き進むにまかせていたら、
ここにたどり着いてしまった、
ということのような気がする。

たしか以前に「もうエッセイは書かない」宣言を
されたと記憶しているけれど、軽めの東野作品を
待ち望んでいるファンも多いと思うので、
このような鬼っ子や、もちろんエッセイも時々
出してほしいと切に願うしだいである。

星は5点満点で2点とさせていただきました。

低く抑えた理由は、東野氏のファンなら
世間の評価がどうであれ、いつかは
手に取るであろうし(そして氏の奏でる
変奏曲を驚嘆をもって受け入れるだろうし)
まだ東野作品を読んだことのない方なら
「容疑者Xの献身」などの名作から
まずは読んでいただきたいのです。
(余計な世話を焼いてスミマセン)

以前、友人に『容疑者X〜』を勧めたら、
「本屋さんに置いてなくて、同じ東野圭吾だし、
まあいっかと思って△△を買って読んだけど
それほどでもなかったよ」という
悔やまれる経験もありました^^;

せっかくの貴重な時間とお金は
有意義に使いたいですよね。



<東野圭吾作品 - 極私的星取り表>
★★★★★ 「容疑者Xの献身」
★★★★★ 「真夏の方程式
★★★★★ 「白夜行
★★★★★ 「卒業
★★★★★ 「眠りの森
★★★★☆ 「マスカレード・イブ
★★★★☆ 「人魚の眠る家
★★★★☆ 「プラチナデータ
★★★★☆ 「どちらかが彼女を殺した
★★★★☆ 「新参者
★★★☆☆ 「マスカレード・ホテル
★★★☆☆ 「片想い
★★★☆☆ 「赤い指
★★★☆☆ 「嘘をもうひとつだけ
★★★☆☆ 「私が彼を殺した
★★★☆☆ 「悪意
★★☆☆☆ 「ラプラスの魔女
★★☆☆☆ 「虚ろな十字架
★★☆☆☆ 「麒麟の翼
★★☆☆☆ 「宿命
★★☆☆☆ 「名探偵の掟
★★☆☆☆ 「カッコウの卵は誰のもの
★☆☆☆☆ 「夜明けの街で
★☆☆☆☆ 「パラドックス13
★☆☆☆☆ 「ナミヤ雑貨店の奇蹟
★☆☆☆☆ 「危険なビーナス

番外編 :
映画『白夜行』 | 東野圭吾ワールドを完璧に再現。