脳を知りたい!
脳を知りたい!野村 進

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失語症、うつ、痴呆、不眠……脳の神秘に迫る!!
『救急精神病棟』著者が説く“わかりやすさ"
限界ギリギリの「人体メカニズム」!
養老孟司教授との特別対談も収録!!(帯より)


早期教育の是非


推進派の意見
「6歳になると、もうほとんどでき上がってしまっているので、
そこから教育を始めても、もはやどうにもならない」
(『賢い子どもの育て方』 七田眞・著)

「右脳は大量暗記に適した頭で、
幼児期に大量暗記させると、右脳の記憶を開きます。
これはあまりよく知られていませんが、
頭のメカニズムから見ると、そうなのです」
(『子供の「天才」の見つけ方』 七田眞・著)

「問題は0歳から3歳ころまでの育て方です。
幼稚園に入ってからでは遅すぎるのです」
(『幼稚園では遅すぎる』 井深大・著)

「生まれた直後の白紙状態の頭脳を考えれば、
むしろ、3歳でももう遅い、
始めるのは、早ければ早いほどいい」
(『0歳からの母親作戦』 井深大・著)

ただし、出版から約20年たって、
井深氏(元ソニー最高相談役)の考えは
大きく変わったようです。
「知的教育は言葉が分かるようになってから、ゆっくりでよい」
(『朝日新聞』90年4月28日付夕刊)

否定派の意見も聞いてみましょう。
久保田競・日本福祉大学情報社会科学部教授

(『6歳になると、もうほとんどでき上がってしまっているので、
そこから教育を始めても、もはやどうにもならない』については?)

「そんなことはまったく言えない。
脳の大きさや重さと脳の働きとは違うわけで、
脳がこれだけ大きくなったから完成したなどということはない」

(『右脳は大量暗記に適した頭で、
幼児期に大量暗記させると、
右脳の記憶を開く』というのは?)

「右脳が大量暗記に適しているという話に根拠はない。
脳のほかの領域でも大量暗記できる。
まして大量の暗記が右脳の記憶を開くなんて言えない」

(0歳から4歳までのあいだに、IQはほぼ決定されるのですか?)

「嘘です。シナプスは生きている限り作られます」

まるで水と油です……

「ダイオキシン=史上最悪の猛毒」説


世界で起きた農薬会社の事故や公害などで、
大量のダイオキシンにさらされた被害者のうち、
ダイオキシンの急性中毒による死亡例は
一例も報告されていない。

ダイオキシン被害の象徴とみなされてきた
ベトナムの二重体児「ベトちゃん・ドクちゃん」も、
実際にはダイオキシンが原因とは確定されていない。

日本のマスコミで大きく報じられた、
「所沢周辺で新生児の死亡率が急上昇している」
とか、
「ダイオキシンに汚染された母乳を飲んだ赤ちゃんに
アトピー性皮膚炎が増加している」
といった情報にも、
データの意図的な操作があるとの指摘が、
日本の研究者のあいだから出されている。

国連の世界保健機構(WHO)は98年に、
「母乳がダイオキシンに汚染されていても、
それが耐容一日摂取量を超えていても、
母乳育児をやめてはならない」
と明言した。

母乳は偉大です……

(註: ダイオキシンの毒性は、サリンや砒素よりも強力ですし、
環境ホルモンとしての働きが長期的な被害を及ぼす
危険性があることは言うまでもありません)


以前、このブログで「海馬」を取りあげましたが
こちらも負けず劣らず面白かったです。
装丁もグリーン系で一緒ですね。
(文庫版はブルーです)

「海馬 - 脳は疲れない」 池谷裕二, 糸井重里

現役最前線の研究者の考えを
うかがい知ることができるというのは
とても刺激的です。

「脳と早期教育」の章のように、
肯定派・否定派、両方の意見が聞けるというのも
ありがたいですね。

養老孟司教授との対談も
とても読みごたえありました。

脳を知りたい! (講談社プラスアルファ文庫)
脳を知りたい! (講談社プラスアルファ文庫)野村 進


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目次

第1章 脳と早期教育
……早期教育で賢い脳は造れるのか
第2章 脳とうつ病
……脳が故障するとき
第3章 脳と環境ホルモン
……現代人の脳が環境ホルモンにこわされる
第4章 脳と睡眠
……睡眠障害=なぜ眠いのか、眠れないのか
第5章 脳と視覚
……ヒトはなぜ人の顔を識別できるのか
第6章 脳と言葉
……失語症=脳はいかに言葉を認識するか
第7章 脳とアルツハイマー病
……人はいかにアルツハイマー病になるのか
第8章 脳と意識
……心はどこにあるか

エピローグ……養老孟司教授との対話


【著者紹介】 野村進(のむら・すすむ)
ノンフィクションライター。
1956年、東京都出身。
上智大学外国語学部中退。
アジア・太平洋、医療、人物論などをテーマに、
旺盛な取材・執筆活動を展開。
97年、「コリアン世界の旅」(講談社)で
第28回大宅壮一ノンフィクション賞と
第19回講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。
99年、「アジア 新しい物」(文藝春秋)で
第11回アジア・太平洋賞を受賞 。
主な著書に、「海の果ての祖国」(時事通信社)、
「死なない身体」(文藝春秋)、
「アジア定住」(講談社+α文庫)などがある。


(本データは、この本が出版された2001年3月15日当時のものです)